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灯りの記録 〜幼少期から実家を出るまでの記録 番外編〜  作者: なかみね ひまり


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第44話 台風がくれた自由への扉


上京した時、私はバイト先の寮に住むことになった。


都会で初めてのひとり暮らし。


それは、ずっと夢見てきた


『家を出る』


という願いが、ようやく実る瞬間だった。



けど、家を出るまでの間、両親は散々なことを言ってきた。


「お前みたいな奴が、それも都会でひとりでやっていけるのか?」


「寮とは言っても、どうせ、オンボロアパートを紹介されるんじゃないの?」


そんな言葉ばかりだった。



「どこでもいい」


「この家から出られるなら、それでもいい」


私はそう思っていた。


実家ではずっと窮屈で、息が詰まるような毎日だったから。



寮は


『入居者以外立ち入り禁止』で、


親族の侵入もNG。


電話面接の時、オーナーから何度も念押しされた。


私はその契約書を見せながら説明した。



それでも毒母は


「荷物運び手伝いたいから、ついてく」


と言い、契約書を無視してまで、来ようとしていた。



本当は


『どんな家に住むのか見たいだけ』


手伝う気なんて、1ミリもないのは分かっていた。



正直言うと、私はついて来てほしくなかった。


長年の夢が叶う日なのに、毒母の存在が、その喜びを曇らせた。



けど、その時だった。


台風が接近してきていた。


「帰れなくなるから」


という理由で、毒母は同行を諦めた。



「天気が味方してくれた!」


心の底からそう思った。


あの日の風の音は、私の背中を押してくれるようだった。



こうして私は、念願のひとり暮らしを叶えた。


この年は、私にとって特別な


『解放の年』


になった。


そして、これを機に、両親と会うことは二度となかった。



私の人生は、ここから少しずつ、


『私のもの』


になっていったのでした。


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