第43話 冷たい家の中で強まった『出ていく』決意
学校を辞めてしばらくの間、私は実家からバイト先へ通っていた。
けれど、家族の態度は、以前よりさらに冷たくなっていった。
まるで私は『空気』のように扱われ、
「社会人なんだから、自分のことくらい自分でやりくりしろ!」
と突き放すように言われる日々。
ある日、バイト終わりでお腹を空かせて帰った時のこと。玄関を開けた瞬間、母が言った。
「私たち、もう食べてきたから」
事前の連絡は一切なし。
私はただ、疲れた体で帰ってきただけなのに。
「食べに行くなら、連絡してくれたっていいじゃん」
「こっちは、お腹空かせて帰ってきてるのに」
そう反発すると、母は軽く笑いながら言った。
「ごめんごめん」
悪びれる様子は、まったくなかった。
逆の立場だったら、顔から火が出るような勢いで怒鳴りつけてくるくせに!
その時、たまたま帰省していたクソ姉貴が口を挟んできた。
「社会人になって、居候してるくせに文句言うな」と。
「は? お前が言うセリフじゃねぇだろ! それを言うなら、お前だって浪人して、留学までしておいて、私よりずっといい思いをしてきたくせに、お前のせいで、私はずっと我慢ばっかりしてきたんだぞ! いい歳して、親の脛かじってるヤツに言われたくない!」
姉は自分のことを棚に上げて、私にだけ説教をしてくる。
その理不尽さに、怒りと悲しさが混ざり合った。
「この家は、私の居場所じゃない」
「この人たちは、私を『家族』として扱ってくれない」
「前から思ってたけど、こいつらにとって私は、所詮、都合の良いロボットのようにしか思ってない。人にはコソコソするなって言っておきながら、自分たちは、私に隠れてコソコソするような言動が何度かあった。これなら、家を出た方が、お互い精々するよな」
その確信が、胸の奥で静かに固まっていったのでした。




