第41話 優しさが踏みにじられた職場で
デパートの名物品コーナーは、年配の女性スタッフが多い職場だった。
そのせいか、女同士の『良し悪し』がはっきりと目に見える場所でもあった。
その中でも、私を露骨に目の敵にしてくるおばさんがいた。年齢の割に、濃いアイメイクをしていて、どこか攻撃的な雰囲気をまとっていた。
バックヤードで着替えてる時も、ノックもなく扉を開けられたことが何度もあった。
幸い、着替えは終わっていたけど、
「なんで、何も言わずに開けるんだよ。絶対わざとでしょ」
と、胸の奥がざわついた。
ある日、外国人のお客さんが来て、商品のことで質問をされたことがあった。私は英語が話せないから、何を言っているのか分からず、戸惑っていた。
そのタイミングで、あの『若作りおばさん』が通りかかった。
「どいて!」
そう言っては私を押しのけ、代わりに対応してくれたけど、お客さんが帰った後、おばさんは私に向かって、
「もしまた、同じことが起きたらどうするの?これは、あなたの説明不足よ」
と一方的に、私が悪いみたいな言い方をしてきた。
「説明不足って言うけどさ、私は英語が話せないのに、どう説明すればいいんだよ」
と、心の中で叫んだ。
他にも、商品の補充をしていたら、
「まだあるのに、そんなにつけ足す必要ないでしょ」
掃除をしていたら、
「埃が舞うから、安易に掃除するな」
と、何をしても文句をつけられた。
特に土日は忙しく、次々とお客さんが来る。
接客だから、苦情も多かった。
その中には、私への苦情もあった。
苦情が入ると、若作りおばさんは決まってこう言ってきた。
「苦情が来たんだけど」
と、まるで私に当たるように怒ってきた。
その苦情のひとつが『保冷剤』の件だった。
ここでは生モノも取り扱っていて、保冷剤もあった。あとから知ったのは、
「1時間以内なら、保冷剤はつけない」
というルール。
けど、入社した頃、そんな説明は一度もなかったし、むしろ、教えてくれたスタッフはいつも
「保冷剤はどうされますか?」
と聞いていた。
だから私は、その通りにしていただけだった。
お客さんがせっかく買ってくれた商品が傷んでしまったら、それこそ苦情の元になるし、それが原因で、
「返金しろ」
と言われたら、もっと面倒になる。
だから私は、
「保冷剤つけますか?」
と、あえて聞いていた。
なのに、若作りおばさんは、こう吐き捨ててきた。
「あなたがそんなこと聞くから、
『前はつけてもらえたのに』
って苦情が来てるのよ!」
と、頭ごなしに怒られ、
「こっちの配慮をなんだと思ってんだ」
と、胸の奥がぎゅっと痛んだ。
「私はただ、丁寧に対応したかっただけなのに」
そう言い返したくて、仕方がありませんでした。




