第35話 不安の先で見つけた旅の灯り
私の通ってた高校には、年が明けると『修学旅行』という行事があった。
行き先は、誰もが一度は憧れる比較的暖かな地域。
その話を聞いた時は、胸が少しだけ高鳴った。
けど、修学旅行には、班行動がつきものだった。
仲の良い子がいない私にとっては、班に入ること自体に強い抵抗があった。
むしろ、
「ひとりで行動するか、先生たちと一緒にいた方が、気が楽だ」
と思った。
だから、担任の先生に相談した。
「グループで行動するのは、少し抵抗があって、できれば先生と一緒にいたいんです」と。
すると担任は、意外にも優しい声で言ってくれた。
「私もできれば、門脇さんと一緒にいてあげたい」と。
その言葉に、少しだけ期待してしまった。
しかし、いざ班決めの日。
私は担任に
『人手が足りないグループ』
に無理矢理入れられた。
しかも、そのグループには、かつて相談室に入り浸っていたトラブルメーカーまでいて、胸の奥が一気に冷えた。
「言ってたことと違うじゃん」
「なんで、私がそこに入れられるんだ」
と、裏切られたような気持ちで、いっぱいになった。
次の日、担任に確認すると、
「学校の規定だから」
と、なぁなぁにされ、私の期待を簡単に踏みにじった。
その次の日に相談室に行くと、いつもの私とどこか違う雰囲気を察してくれたのか、先生は
「何かあった?」
と優しく聞いてくれた。
修学旅行の件で相談したら、
「それはイヤだよね。けど、せっかくの修学旅行なんだし、頻繁に行ける場所じゃないから、自分なりに楽しんできたら?」
と言われた。
その言葉は優しかったが、心の中は憂鬱だった。
修学旅行には行きたい。
けど、このグループで心から楽しめる気がしない。
行く直前まで、不安で胸がいっぱいだった。
そんな気持ちで修学旅行当日を迎えたが、実際に行ってみると、景色は美しく、気候も暖かく、体験することすべてが新鮮で、結果的に思い出に残る修学旅行になったのでした。




