第32話 教室で揺らいだ心の灯り
相談室には、生徒が学習するための小さな部屋がいくつかあった。
それぞれが仕切られていて、まるで
「自分はこの部屋で勉強する」
と決められてるような空気があった。
中には、
「誰とも一緒にいたくない」
という雰囲気をまとった生徒もいた。
私はその姿を見るたびに、胸の奥が少しざわついた。
「中学の時、私も誰にも邪魔されずに、自分の空間だけで勉強したかったのに、それが叶わなかった」
「この人たちはずるいな」
そんな風に妬んでしまう自分がいた。
クラスに戻れば、また別のストレスが待っていた。
単位制の高校だったから、休んだ生徒が当然のように誰かからノートを借りていく。
私も何度か貸したことがあった。
ある日、テスト1週間前という大事な時期に、私からノートを借りたクラスメイトがいた。
その子は返すこともなく、私からノートを借りてから、数日間ズル休みをした。
テスト期間になってようやく学校に来て、ノートは返ってきたが、その子は悪びれる様子もなく、むしろこう言ってきた。
「ノートなくて困ったでしょ?」と。
その口調は、まるで私を舐めてるような言い回しだった。
「人からノートを借りて、ズル休みまでしておいて、その態度は何様なん?」
「こんな非常識な人間に、2度と貸すもんか!」
「今どき、幼稚園児でもちゃんと謝れるよ!」
「あんたの言動は、幼稚園児以下のレベルと言っても過言ではないね!」
と、胸の奥に怒りがじわっと広がった。
さらに、その非常識なクラスメイトの友達にも困らされた。
その子は、人の気持ちを察することができないタイプで、私が普段ひとりでいるのを知ってるくせに、わざとらしく、こう聞いてきたことがあった。
「門脇さん、このクラスに友達いないの?」と。
その子は、目が合うたびに、私に絡んできたから、そのたびに、胸の奥がざわついてた。
「そうやって安易に絡まれるの、ありがた迷惑なんだけど」
「少しは、こっちの気持ちも察してくれないかな?」
本人にそう言い返すこともできず、スルーするしかなかったが、心の中ではずっと、モヤモヤが渦巻いてた。
相談室は確かに『灯り』だった。
けど、唯一の居場所である相談室も、奪われかける出来事が待っていたのでした。




