第31話 相談室で見つけた小さな灯り
初めて相談室に足を踏み入れた日、相談室の先生は、私に向かって優しく、こう言ってくれた。
「ここでは思う存分、ストレス発散していいからね」
その一言は、胸の奥に、すっと染み込んだ。
学校にも家にも居場所がなかった私にとって、その言葉は、本当に救いだった。
その言葉に甘え、相談室では、思いっきり素の自分を出した。
教室では猫をかぶって静かにしていた分、先生と2人の時はよく笑い、時には周りの人が
「うるさいな」
と思うくらいに、声を出して笑ったこともあった。
他愛もない会話を重ねるうちに、相談室の先生とは、自然と仲良くなっていった。
先生は時々、ここで働く教師たちの裏事情をこっそり教えてくれた。
それを聞くたびに、少しだけ得をしたような気分になった。
また、生徒の様子を見に来る別の先生とも仲良くなり、相談室は私にとって
『安心できる場所』
になっていった。
私の通っていた高校には、
『相談室登校』
という制度もあったけど、そこまでは利用しなかった。
授業に関しては、そこまで苦痛ではなかったし、単位制だったから、むしろ、ノートを借りる方が面倒だった。
だから、授業にはしっかり出て、単位を取った。
相談室は、逃げ場所ではなく、
『自分を取り戻せる場所』
だった。
騒がしい教室で張り詰めていた心が、ここではふっと緩んだ。
私にとって相談室は、小さな灯りがともる場所だったのでした。




