十二 三者面談
十二月も中旬だ。早い夕暮れに差し掛かった時刻。
三者面談のトリを飾ったキト達はペラとした順位表に目を落とす。
史上最悪のテスト結果だったのに、父も先生も何も言わなかった。
「まぁこんな時もあるのだから気にすることはない」
そう言われて素直に受け取るほど大人じゃないが、だからと言ってさめざめと落ち込むほどでもない。
進路に影響するわけではないし、そもそも何かやりたいことがあるわけでもない。
惰性に流されているといえばそうなのだが、高校生の大半はそんなものだとキトは思っている。
「僕、部活だから」
面談を終え、鞄を背負ったキトを父親が気まずそうに引き留めた。
「あぁ、キト。あの日、あれは偶然で……。まさかお前が、あんなことする度胸があるなんて思わなくて……」
歯切れの悪い父親の意図が分からず、片眉を上げるキト。
「怒ってんの? 別に悪いことなんて……」
ぶっきらぼうに言い返すと、彼はびっくりするように、だが最後は恥ずかしそうに言った。
「ち、違うんだ。その、初めはキトだと分からなくて。でも、こう、ぐっとくるって言うか……。すごく響いたんだ。動けなくなるくらい良かったんだ」
「……で?」
「よかったんだよ。そしたらキトだって分かって。誇らしかった。恵ちゃん(母)に、見せたかったって思ったら……」
キトは珍しく父を正面で捉え、吹っ切れたような爽やかな顔で笑った。
「伝わったから。あんたの思い。ちゃんと分かってる」
そう言って踵を返すと、ふわとエイラがポケットから飛び立った。
残された男はデグの棒で立ち尽くし、呆気に取られて見送った。息子とあれは……?




