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備前宰相の猫・二巻  作者: 山田忍
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猫と戦い

 メイクイーンは鞭を持ち、男爵は警棒のような物を持った。

「メイクイーンは任せろ!」

「棒ならば‼」

 オレはメイクイーンに、八郎は男爵に向かった。

「はあっ!」

「おっと!」

 八郎と男爵の一騎打ちになった。

「私も行くわよ!」

「かかってこい‼」

 オレもメイクイーンの一騎打ちになった。

「おっと!」

「ちっ!」

 メイクイーンの鞭を避け、オレはメイクイーンに近づいて行き、

「はっ!」

「何の‼」

 八郎は男爵の警棒を刀で受け止めているが、

「うわあああああ‼」

 刀で受け止めていた八郎は、急に倒れてしまった。

「お、おい⁉ 八郎⁉」

「ね、猫丸……私は問題無い……それより……気を付けるのだ。何故か……急に……体が痺れるのだ……」

「何で⁉」

「はっーはっはっはっ‼」

「ほっーほっほっほっ‼」

 倒れた八郎を見てメイクイーンと男爵は笑っている。

「くっ……」

「見たか! この警棒を‼」

 男爵はオレ達に警棒を見せつけ、

「この警棒は45Vのスタンガンにも、なっているのです! わざわざ、通販で購入した甲斐がありました‼」

「スタンガン⁉」

「何だ……すたんがんと言うのは……?」

「危険な物だ‼ 八郎、立てれるか?」

「ああ……」

 八郎を抱え、安全な場所に移動させようとすると、

「こっちも忘れているんじゃないわよ‼」

 メイクイーンが鞭を振るってきた。

「のわあ‼」

 ギリギリで避けたが、八郎を抱えている分、オレの方が不利だ。

「どうしたの? さっきの勢いはどうしたの?」

「くっ……」

「猫丸……私の事は……気にするな……二人を捕らえるのだ」

 苦しそうな八郎は、弱々しく呟いたが、

「何でや‼ オレが何とかする‼」

「何とかって、どうするのよ!」

「危ねえ‼」

 鞭が八郎に向かってきたので、オレが前に出てかばった。

「いってぇ~」

「どうしたのよ! やれるものなら、やってみなさいよ!」

 メイクイーンの鞭がもう一発——と思った時、

「「?」」

 八郎の体がオレから離れ、少し離れた所に移動した。

「な、何なのよ⁉」

 もう一発が振り下ろされそうになったが、寸前で避けた。

「よっしゃ!」

 オレは構え直して、メイクイーンに向かって行った。

「きゃあっ!」

「お、お嬢様⁉」

 メイクイーンの鞭を落とす事に成功した。

「こんにゃろ!」

 オレは、すかさず鞭を拾い上げ、遠くに投げた。

「お前! お嬢様に‼」

 警棒が振り下ろされるが避け、刀で男爵の頬を叩き、倒れた。

「うわあ!」

「もう逃がさないぞ」

「くっ、くそ……」

「参ったわ……」

 メイクイーンと男爵は手を上げ、降参した。

「八郎、大丈夫か?」

「私は何とか……猫丸。捕らえるぞ」

 八郎は、よろよろと立ち上がった。

「ああ」

「降参はするけど、捕まるのは嫌よ‼」

「悔しいが、数珠丸恒次や他の刀は諦めます‼」

「「⁉」」

 男爵はまた煙幕を使った。

「何処だ? 二人は?」

 煙が無くなると、メイクイーンと男爵の二人はいなくなり、あのイルカ型のタイムマシンも無くなっていた。

「逃げたか」

「数珠丸恒次や他の刀は無事だな」

「南蛮かぶれ用の大太刀も無事だ」

 エリンギは嬉しそうだが、

「それは、どうでもいいや」

「錆びた刀だからな。だが、何故、錆びて抜けない刀が?」

「もしかして、価値があるのかな? 名刀やったりして」

「名刀か……この大太刀も見てもらおうか?」

 八郎はエリンギが背負っている大太刀を取り上げた。

「待てぃ‼ やめろ‼」

 案の定、エリンギが暴れたので押さえつけると、

「何で、そんなに錆びて抜けない刀にこだわるん? 棒でええやん。その辺の」

「いいだろ! 別に‼」

「さあ、帰るぞ。猫丸、えりんぎ」

 八郎は先に歩き出した。

「おい‼ こら‼」

「ああ……」

「どうした? 猫丸?」

「いや。何で急に八郎の体が離れたんやろう、って」

「ああ。そう言えば、確かに。だが、私にも分からないのだ。体が自然に離れて行き……」

「分からないのか?」

「そうだ」

 八郎も不思議そうにオレを見つめているが、エリンギはアクビをして、

「さあ。偶然だろ。偶然」

「偶然……なのか? 何やら奇妙な力が働いたというのか……」

「俺が偶然と言っているんだ。偶然だ」

「そう、か。それはそういう事なのだろう」

「手に入れた刀。上様に見せないと」

 オレ達は刀を持って帰路についた。

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