三 思いと想い
ミコトはタクミと別れた後、家に帰るまで、何も考えられず、頭が空っぽになっていた。それだけ、衝撃が大きかった。
ただ初詣に行っただけなのに、蛇の獣人に番になって欲しいと求婚された、なんて誰が信じるだろうか?いや、それは実際に起こった。現実逃避をしようとしても、答えを出さなければならない。
(番って、子供を産むんだよね…?人間じゃない人と?それに、全く知らない神界(?)っていうところで……そこに行ったら、帰れなくなるの?イヤだよ…私はここに家族も友達もいるんだから……そうだ断ろう!うん、それがいい。「私は、あなたと一緒にはなれません」これでいいよね?)
ミコトは、断ろうと決めた。知らない場所の知らない人(獣人)に嫁ぐなんて、イヤだということから出した結論だった。
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一方で、タクミはというと──────────
「はあ……告白しちゃった。あの子は驚いている顔も可愛かったな……」
と感傷に浸っていた。
「2日待って欲しいって言ってたけど、それってきっと恥ずかしくなっちゃっただけだよね?こんなに僕が愛してるんだから、拒むはずないよね?愛されて嬉しくない人なんていないよね?」
と自己中心的で自意識過剰な考えをしていた。
「それに、もし拒まれたとしても、絶対に逃がしたりしない……もしそうなったら、洗脳をしてでも、神界に連れて帰って、無理やりにでも番にしてあげる……そうすれば、僕の愛を分かってくれるはずだよね……?」
蛇獣人は執着心が強い。その中でもタクミは、特に執着心が強かった。
また、蛇獣人はたまに洗脳能力を持っている人もいる。そして、彼は、その洗脳能力を持っていた。相手の目を見て念じることで相手の意志を奪うという、とても強力で危険な……
タクミは、もしミコトに拒まれでもしたら、洗脳能力を使ってでも彼女を手に入れたいという、異常なまでに強い独占欲と執着心を持っていた……




