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重霊機モルスレプス(Gravity Ghost Gear MORS LEPUS)  作者: 高戸 賢二
クリューという少年

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7/31

クリューという少年(7)

「いいか、あらためて模擬戦のルールを確認するぞ。クリューが100発避けたら勝ちだ」

「ちょっと待て。オレが当てたら?」

「あなたの勝ちでいいわ」

「ふ~ん・・・で、オレはどうなったら負けになんの?」

「あなたが降参したら、あなたの負けね」

「つまり、お前は何発喰らってもいいってことだ」

「ふ~ん・・・何発当てられてもいいのか・・・なんか、それって不公平じゃね?」

「お前の実力を見るためだ。1発じゃわかんねえからな」

 クラフターの触覚は、生身の体よりも鋭敏だ。ペイント弾とはいえ掠っただけでも激痛が走る。当たり所が悪ければ、大人でも気絶するレベルなのだ。

「根性見せろよ。1発で降参なんかしやがったら、二度と3Gには乗せてやんねえぞ」

「舐めんな。誰が降参なんかするか」

「フッ、吠え面かかないでね」

「そっちこそ」

「強気じゃねえか。まあいいだろう。10秒後に模擬戦開始だ。カウントダウンはじめ!!」

「10・・・9・・・8・・・」

 機械的な音声が霊子通信として聞こえてくる。

 セーブルのハイホークXは急加速で上空へと飛んでいく。有重力下の戦闘では、上からの射撃の方が有利だからだ。

 一方のクリューは動こうとしない。顔の向きはセーブルを追っているようだが。

 ・・・何を考えているの?

「・・・3・・・2・・・1・・・START!!」

 ハイホークXのGサイクロトロン銃から、ペイント弾が発射された。セーブルは牽制のつもりだったのだが。

 パンッ!!

 ペイント弾をまともに喰らったクラフターの顔面が真っ赤に染まる。

「だ、大丈夫!?」

 相当深刻なダメージのはずだ。当てた方のセーブルが思わず心配するほど。

「くぅ・・・効くねえ・・・鼻っ柱を思いっきり殴られたみてえだ・・・」

 気丈なクリューの声。クラフターの手が顔面のペイントを拭う。

「さあ、どんどん当ててくれ。弾はたっぷりあるんだろ?」

「・・・心配いらないみたいね」

 チャキッとハイホークXが両手打ちの構えを見せる。

「ハチの巣になりなさい!!」

 シュシュシュシュッと、連続で空気を切り裂く音が銃口から鳴り響く。

 パパパパーンとペイント弾の破裂音が、クラフターの顔面だけでなく胸、肩、両腕を次々と赤く染める。

「・・・いいのか? そんなに連射して。今ので3発外したぞ」

 ペイント弾に破壊力はないとはいえ、高速で発射されたペイント弾の衝撃は生身の人間の骨を砕く。普通の大人でも泣きわめくほどの痛みのはずだ。

「・・・痛くないの?」

「痛えに決まってるだろ!!でも・・・痛えだけだ!!」

 クリューのクラフターが・・・消えた?

 次の瞬間、背後に気配を感じたセーブルが上半身を思い切りひねる。

 ハイホークXの顔面近くをペイント弾が通り過ぎていった。

 慌ててセーブルは高速離脱して距離を取る。

「やるじゃん。あそこから避けられるとは思わなかった。やっぱドテッ腹狙えばよかったかな」

 ・・・何なの?あの動き?

 マシナリードーピングで感覚を100倍にしていたから避けられた。パイルタッカーの遅い弾だから避けられた。もしも同じ機体にダイブしていたら・・・

 セーブルは冷や汗が止まらなかった。




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