乱戦(9)
「ソード2リーダーのエドガルドにソード2、ソード3の指揮を任せる。クラフターを無力化しろ」
「りょ、了解しました」
「ソード1のヨアキム、テレサは俺の元に来い。アッシュハウンドを仕留める」
「「了解」」
アレンは指揮権を委譲し、なおかつ気心の知れたヨアキムとテレサを引き抜いてまで、ローガンのアッシュハウンドを落とそうと考えていた。
ハイホークXとクラフターに張り付いていた2機を引き剝がすことは、一時的にクラフターを自由にしてしまうかもしれない。しかしそのリスクを負ってまでも敵の隊長機を落とす必要がある。
作戦の主目的である敵基地の鹵獲は時間の問題だろう。戦略的な勝利は揺るぎないものとなっているのだ。これ以上の被害は容認できなかった。
「さて・・・」
指揮権を渡されたエドガルドは作戦を考える。
敵は得体のしれない長距離砲を持つ作業機のクラフターと、護衛するハイホークX。対する味方機はソード2、3を合わせた9機。自分が指揮に徹したとしても8機を自由に動かすことができる。普通に考えれば負けるはずがない相手なのだ。長距離からでも一撃でチャーリー機を屠った武器を持つ敵に、近づかなければこちらの武器は通用しない。ならば数でのゴリ押しも策の一つだ。多少の被害は出るだろうが、確実に敵を落とすことは可能だろう。
ネックは得体の知れない長距離砲だけではなく、士気の問題だった。
今回の作戦の目的は敵の殲滅ではない。あくまでも敵基地の鹵獲なのである。すでに勝利は確実であり、この3G戦はオマケのようなものなのだ。軍人として命令には従うが、彼らも人の子。勝利の美酒を味わいたいし、死ぬのだけは御免だ。
誰が火中の栗を拾いに行くのか。いや、誰に行かせるのか。
エドガルドは決断できぬまま、無難な策を行使する。
遠距離から包囲し、戦況を膠着させる。
すなわち時間切れによる両者撤退が、最も被害の出ない策であると。
敵の接近を知らせる警告音がゼナとローガンの脳裏に鳴り響く。
「敵は3機に増えやがった。ちっ、これだから優秀な軍人ってヤツは嫌いだ。常に自分たちに有利な状況を作ってきやがる」
「なあに、俺とゼナの2対3なら何とかなるだろ?」
「アンタは引っ込んどけ!! クソ親父!! 数に入れるな!!」
「いくらなんでもお前一人でどうにかなる相手じゃねえだろ!? 敵のエースが来てんだぞ!?」
「アンタがいなくても2対3は変わらねえよ」
ゼナが不敵に笑う。
「ちゃ~んと、こっちを見ててくれよ、グングニルさんよ」




