乱戦(8)
「ソード1、クリス・エバートン機、ロスト。生命反応消失」
自分を素通りしたゼナのスノーバードを追おうとしたマイクの目には、クリス機がスノーバードによって爆破四散する様が映っていた。
「クソッ!! 反乱軍ごときが!!」
頭に血が上りやすいのがマイクの欠点か。ゼナのスノーバードに意識を集中させ過ぎたマイクは、自機へと高速接近する敵機に気が付くのが遅くなってしまった。
ガツン!!
敵の狙いが外れたのか、直撃こそ免れたものの足先に敵機が当たり、クルクルとコマのように回転させられてしまう。
「ク、クソがぁ!!」
上下左右が目まぐるしく入れ替わるような視界の中、マイクは必死に自機を立て直す。
視界が落ち着いた時にマイクが見たものは、大写しになった白い3Gが光る拳を振り上げている姿。
「いただき!!」
「ソード1、マイク・ギーエン機、ロスト。生命反応消失」
アレンは戸惑いを隠せない。
5対5の同数の戦闘では、自軍が敵を封じ込めていた。しかし増援が到着した途端、自軍が次々と落とされていく。
「アイツの指揮か!?」
ソード2のチャーリー機はともかく、クリスとマイクの両機はアッシュハウンドの捨て身の攻撃がきっかけとなった。作業機であるクラフターに指揮能力などあるはずがない。
「キーマンはクラフターではなく、アッシュハウンドだったのか!?」
増援が来たことにより指揮に徹しようとしていたアレンは、ローガンを討つべく戦場へと舞い戻る。
クリスとマイクを撃破したことで、ゼナとローガンは一息をついた。
現状、二人をターゲットにしている敵はいない。グングニルの牽制射撃は絶え間なく続いており、敵に増援が来たにもかかわらず戦況が膠着しているのである。
「親父。そろそろ離脱しな。ボロボロじゃねえか」
「まだまだ!! お前ら全員が無事に帰るのを見届けるのが、隊長ってもんだろ?」
「隊長ヅラして、死んでも知らねえからな!!」
「可愛い娘に先越されるよっか、マシだろ!!」
「アタシが死ぬ前提で話すな!!」
「お前にゃあ幸せになってほしいんだよ!!」
「アタシは戦場にいることが幸せだね」
「じゃあ、なおさらお前の幸せを見届けにゃあならん!!」
「けっ! アタシのこと好き過ぎんだろが」
「悪ぃか!!」
その時、敵機接近を知らせる警告音が二人の脳裏に響き渡る。
「ちっ! 親父がグズグズしてっから、逃がし損なったじゃねえか!!」
「だから、まだ離脱しねえって言ってんだろっ!!」
「あと一発でも喰らってみろ。緊急プロトコル発動させてでも親父を強制離脱させっからな!!」
二人の会話は司令テントに筒抜けである。
「親子ゲンカは犬も食わない・・・だったかしら?」
キャロルがボソッと呟いた。




