乱戦(2)
「ちいっ!! 逃がすかよ!!」
「追うな!! マイク!!」
身を翻してゲラルドを追おうとするマイクをアレンが制止する。
「ここはすでに敵の勢力圏内だぞ!! 深追いする必要はない!!」
「・・・了解」
1機も逃がすなという隊長の命令を遂行できなかったマイクは、失敗を悔やむもののすぐに頭を切り替える。脳波リンクにより思考を共有した他の4機の状況を冷静に分析した。
ACEとアッシュハウンドはACEが優勢。味方2機が逃げるクラフターと援護するハイホークXを追いつめている。残る1機は正体不明の白い3Gと戦っているが、動きは正体不明機の方が上か。ならば・・・
「クリス!! 俺が白いのを撹乱する!! クリスは射撃に専念しろ!!」
マイクのランサーストラトスがゼナのスノーバードと戦っているクリスのランサーストラトスの加勢へと向かっていった。
46部隊の野営地は俄かに慌ただしくなっていた。
「医療班、準備を急げ!! ゲラルドが帰還するぞ!! 整備班は帰着後即座にコックピットの状態を確認するんだ!! 場所を開けろ!!」
46部隊の留守を預かるマロウが陣頭指揮をしていた。
コックピットの肉体の損傷が激しい場合、3Gの緊急プロトコルによってダイバーの憑依が解けないこともある。これはダイバーの魂が肉体に戻った時に、肉体の痛覚が一気に襲ってくることがあるからだ。激しい痛みによるダイバーのショック死を防ぐための仕様である。
周囲に簡易ドッグとも呼べる移動式整備昇降車が脇に控える空き地に、手足を失ったブルドッグⅡが仰向けに不時着する。移動式整備昇降車のカゴ付き梯子が伸び、カゴに乗った整備員がコックピットのハッチを操作した。弾痕でひしゃげたコックピットハッチが、プシューと音を立ててゆっくりと上がっていく。
「ゲラルド軍曹は憑依解除出来たようです!! しかし・・・」
移動式整備昇降車の側にいたマロウが大声を出した。
「ゲラルド!! 無事か!?」
医療班に抱えられたゲラルドがコックピットから姿を現す。半裸の肉体のあらゆるところから血を流し、色白の皮膚が真っ赤に染まっていた。
「おう・・・マロウか? へへへ・・・元気すぎてビンビンだぜ・・・」
力のない声で血まみれのゲラルドがにへら~と笑う。
「この死にぞこないが!! 丈夫な体に生んでくれた親に感謝しな!!」
「へへへ・・・親の顔なんざ・・・覚えちゃいねえよ・・・丈夫な皮下脂肪のおかげだ・・・デブでよかったぜ・・・」
ぎこちない笑みのゲラルドがサムアップするも、すぐに気を失ってしまう。医療班数人がゲラルドを抱えて、医療テントへと消えていった。
「生きてりゃ勝ち・・・か」
クリューがそっと呟いた。




