激突(4)
「大佐!! いい加減、俺たちを出させてくれ!!」
ザクセンに意見したのは「アレン・クロウ・エルドリッヂ大尉」である。名前の頭文字をとって「ACE」と呼ばれるアレンは、3G部隊「ソード1」の隊長でありジフォス中隊が誇るエースダイバーだ。
「オベリオスの単騎じゃ、弾幕を張っても避けられちまう。俺たちが参戦して乱戦になれば、オベリオスの攻撃も当たりやすくなるはずだ」
「・・・却下だ」
「何故だ!?」
「ワシの攻撃は敵味方の分別をせぬ。お前たちを巻き込むだけだ」
「いや、俺たちなら・・・」
「避けられるというのか? お前たちに避けられるということは、敵にも避けられるということだぞ? ワシを甘く見るな」
アレンには返す言葉もない。
「・・・とはいえ、乱戦に持ち込むのは手だな」
ザクセンがニヤリと笑みを浮かべる。
「偵察用デコイはまだ残っているな?」
偵察用デコイとは超小型GBUシステムを搭載し各種センサーで偵察任務に特化した、大きさ50㎝ほどの安価な機体である。生体反応が無いため、霊子レーダーでは捉えることができないのが特徴だ。
「はっ。使い捨てのデコイはまだ100機は残っているかと」
「ようし。50機ずつ2陣に分け、敵の至近距離にまとわりつかせろ!!」
46部隊も戦況確認用のデコイを、数は少ないものの戦地である空域に飛ばしている。司令テントのマロウがデコイからの警報を確認した。
「ウチのデコイが敵艦から何かが発進されたのをキャッチした! 気をつけてくれ!!」
「何機だ!?」
「50機って表示されてる! 機影からデコイっぽいが、数が多すぎる。狂犬のやることだ、油断ならねえ! 用心してくれ!!」
「了解!! マロウは爺さんに『散開しろ』と伝えてくれ」
「了解した」
マロウは即座に無線に切り替えて、ローガンの指示をベネトに伝える。クリューは司令テントのモニターに分割表示されているリアルタイムの映像と、複数のデコイによる敵味方の3D解析装置を交互に見ていた。
「なあ、マロウ。話をしても大丈夫か?」
「しょうがねえな~・・・キャロル、代わってくれ」
「はいは~い」
キャロルがヘッドセットを装着し、マロウは椅子の背もたれにぐて~っと体重を預けた。
「ふぅ・・・俺も息抜きしたかったところだ。現場にゃあ申し訳ないけどな」
「やっぱ、管制官でも緊張すんのか?」
「なまじっか戦況が見えるからな。仲間が墜ちるところは見たくねえし」
「・・・初めて知った」
「俺もだ。ぶっちゃけ現場で戦ってた方が、余計なこと考えなくて楽かもしんねえ」
「わかるかも。戦場に出れねえ方がしんどいとは思わなかったよ」
「なんだクリュー。お前、戦場に出たことあんのか?」
「・・・・・・」
クリューは答えなかった。




