激突(3)
ザクセンのオベリオスが46部隊の3Gを視認した。5機が一塊の密集隊形に布陣している。中央の3Gが光の弾を放つロングライフルを撃っているようだ。
「見つけたぞ、反乱軍。まずは蹴散らしてくれるわ」
艦首を46部隊に向けたオベリオスが、踊るように突撃してきた。
セーブルの2丁撃ちとゲラルドの中距離Gサイクロトロン銃が正面から迎え撃つも、弾丸はオベリオスの艦首に傷一つ付かない。
「危ない!!」
セーブルのハイホークXが動きの鈍いクラフターの手を引っ張り、オベリオスの突進を間一髪で避けさせた。
すれ違いざまにローガンのアッシュハウンドがGサイクロトロン銃を放ち、ゼナのスノーバードが接近戦を試みるもどちらもオベリオスに躱されてしまう。
「あの図体で、なんていう動きだ・・・」
「デカいくせにちょこまかと!!」
「豆鉄砲など効かぬわ!! 砲撃手、何をボサッとしておる!! ワシの動きに構わず撃たんか!!」
オベリオスの動きに翻弄されていた砲撃手が、慌ててGサイクロトロン砲を撃ち始めた。しかし照準を合わせられず明後日の方向へと放つのみだ。
「当てようと思うな!! 近づけさせなければよい!! 弾幕のつもりで撃ちまくれ!!」
オベリオスがUターンよりも鋭角なV字でターンする。
「そこじゃ!!」
クラフターのグングニルが火を噴いた。
ガガーン!!
光子弾がオベリオスの横っ腹に直撃した。
「「「うわぁぁぁぁ!!」」」
オベリオスが激しく揺れ、乗組員が驚声を上げ何人かが転げまわる。ザクセンも足をふらつかせ艦橋で跪いた。
「ハッ!! 反乱軍もやりおるわ!! だがグラビウム製の特殊複合装甲は貫けまい!!」
「くう・・・グングニルでも効かんか・・・」
ベネトが呟いた瞬間、霊子通信ではない接触通信のような声が脳裏に届く。
「・・・主よ」
「ん? 誰じゃ?」
クラフターには誰も接触していない。
「私だ。グングニルだ」
自律行動できるインテリジェンスウェポンだと聞いていたが、グングニルの声は初めて聞く。精悍な壮年の男性のような声。ベネトは驚きのあまり返事ができなかった。
「主よ。耄碌して耳が遠くなったか?」
「はあ?」
何じゃ? これがグングニル? これがインテリジェンスウェポン? インテリジェンスと言いながら、知性の欠片もないではないか・・・
中世の頃にできた初期のAIは人間らしさを強調するために砕いた言葉を使うことがあった。親しみやすさを加味することにより、単純に言えば「売れる」ことを優先したのである。しかし宇宙時代のAIに必要なのは正確性と情報量。簡潔で過不足なく要求に応えることが必須であり、人間らしさなどは二の次なのである。
DPWDが作ったにしては、あまりにもAIとしての方向性が違う。
「爺さん!! ボーッとすんな!! 死ぬぞ!!」
ゲラルドに引っ張られ、敵の弾丸が頭を掠めたベネトであった。




