激突(2)
「大佐!! 敵を発見しました!!」
「どこだ!!」
「真上です!! 3Gらしき生物反応が5機!! 我が隊より上空2万mの位置で待機しているようです!!」
「真上だと!?」
敵は成層圏を抜け、大気圏外から接近してきたということか。地球感覚の戦争ではあり得ない戦法だけに、頭から抜けてしまった。
「「「うわぁぁっ!!!!」」」
ガガガガガッという音と同時に、オベリオスが小刻みに大きく揺れる。乗組員たちの驚声が艦橋内に響いた。
「攻撃を受けました!! 被害は軽微!! 損傷はありません!!」
威力は微小でも数が多い。艦がこれだけ揺れるのだから、当たりどころが悪ければ被害も出るだろう。
「艦首を上に向けろ!! 管制官、霊子レーダーをワシのゴーグルに繋げ!! 操舵官はワシの脳波とGBUをリンクさせろ!!」
ザクセンは「LI(LinkVision Interface)」と呼ばれる操舵手専用の大きなゴーグルを顔にかける。ザクセンの視界がオベリオスと共有し、青い空が広がった。遥か空の彼方から、無数の光の弾丸が降り注ぐ。
いい気になるなよ、反乱軍。
「2番艦、3番艦は待機!! 他にも敵が来るやもしれん!! ワシは打って出る!!」
オベリオスがGBUシステムをフル稼働させ、急加速で上空へと突き進む。オベリオスの大きな艦首は盾の役割を強化したもので、100mほどの隕石をも破壊できる剣としての機能も持つのだ。自らを巨大な剣とした強襲巡洋艦と呼んだ方が正しいだろう。
「本気出すぞ!! 総員、視界酔いするなよ!!」
オベリオスは左右どころか、あらゆる方向に激しく動きながら上昇していく。その動きは3Gのそれと同じ。巨大な艦船ではあり得ない動きだ。
「フハハハハ!! 血が滾るぞ!!」
3Gダイバーからのたたき上げのザクセンならではの艦船運動。これこそザクセンが「狂犬」と言われる所以である。
「何よ、アレ!!」
上空2万mからクラフターのグングニルで狙撃していた46部隊に、ザクセンのオベリオスが踊るように接近してくる。ベネトのクラフターを護衛していたセーブルが思わず叫んでいた。
「ヤベえ!! ありゃあ『狂犬』だ!!」
司令テントから監視デコイで戦況を見守っていたマロウが、特徴的な母艦の動きからザクセンだと気が付いた。
「アイツは何振り構わず殲滅してくるヤベえヤツだ!! クラフターじゃ回避しきれねえ!! 爺さんを守れ!!」
クラフターの軍用補助機能は皆無に等しい。さらに無骨ではあっても防弾性のない作業用3Gだ。艦上砲撃でも喰らえば、掠っただけでも致命傷になるだろう。
「加勢するぜ!!」
副官であるゲラルドのブルドッグⅡが盾を構えて、クラフターの護衛に加わった。




