激突(1)
再開します
テラクア正規軍X-1中隊、通称「Xiphos中隊」はグラミー島から1000㎞離れた空中にて静止していた。ジフォスとは古代ギリシャの剣という意味であり、ザクセン大佐の苛烈さから付けられた軍内部での通り名である。
ジフォス中隊は200m級巡洋艦3隻、3Gは30機で構成されており、旗艦「オベリオス」は同じ巡洋艦でありながら僚艦2隻より艦首が一回り大きい。
空中に200m程の巨大な塊が3つも浮いている様子は、異様としか言いようがなかった。
「大佐殿、すでにグラミー島の警戒範囲内に侵入していますが、このようなところに留まっていてよろしいのですか?」
副官の言葉にザクセン大佐はギロリと眼光を飛ばす。「狂犬」と呼ばれた男の威圧に慣れていない若い副官は、思わず後ずさりしてしまった。
(こんな使えんヤツを寄こすとは・・・ワシも煙たがられたものだな)
放棄され無人となった前線基地ではあるが、それはあくまでも司令部からの情報でしかない。こちらの進軍を知って大軍を潜ませていないとも限らないのだ。
「偵察用デコイからの情報はまだか!?」
「はっ!!敵基地の防衛システムにより何機か落とされていますが、敵3Gの迎撃はない模様!!」
「霊子レーダーでかなりの数の生体反応を捉えましたが、動きからして小動物の可能性大!! 潜んでいる人間の生体反応はないようです!!」
無人という情報は本当だったようだが、自動防衛システムが生きているのは少々厄介か。
「司令部からの情報によると、放棄されたと言っても5年前のことのようです。特にグラミー島前線基地は内戦初期に作られたため、相当頑強であることが予想されます」
「破壊するだけなら簡単なのだがな。ちぃっ面倒な」
舌打ちしたザクセンは、周囲を睨みつけるように指令を出す。
「ソード4~6の3G3個小隊は、敵基地の制圧に向かえ!! 罠があるやもしれぬ。防衛システムの無力化を優先しろ!!」
X-1中隊の保有する半数の15機の3Gが、母艦から発進しグラミー島基地へと向かって飛んでいった。
「全艦、霊子レーダーを広範囲に拡大し索敵しろ!! いいか、薄く広くだ!!」
霊子レーダーは生物の動きを感知する。霊子を持たない物質は透過するので、敵が3Gならば空中のどこから来ても見逃すはずはない。3Gの動きは鳥とは違うのだから。
「さて・・・エサは巻いたぞ、反乱軍。どこから来る?」
ザクセンは敢えて半数の3Gを発進させ、母艦の守りを手薄にした。
「敵が水中から来たらどうするのです? 魚に紛れたら、判別は難しいのでは?」
「可能性はゼロではないがな。Gシールドを張れば別だが、水の抵抗は3Gの動きを大幅に阻害する。ワシならばやらぬ戦法だがな」
逆にアリか・・・
「よ~し!! ソード2と3の3G2個小隊は発進し、下方を警戒せよ!! ソード1は出撃態勢で待機!!」




