激突(5)
「なんだクリュー。お前、戦場に出たことあんのか?」
「・・・・・・」
答えないクリューにマロウは片眉を動かしたが、すぐに話題を変える。
「で? 話したいことがあったんじゃないのか?」
「あ、そうだ。ウチの部隊は何で基地を守らないんだ? 基地防衛が任務なんだろ?」
「ん・・・クリュー、お互いの勝利条件はわかっているか?」
「え?」
「敵はグラミー基地を奪うことが目的だ。じゃあ、俺たちは?」
「・・・基地を守ることなんじゃないのか?」
「お前、そりゃあ軍としての勝利だ。俺たち46部隊の勝利条件じゃねえ」
「そうなのか?」
「考えてみろ。この戦は最初から勝ち目のねえ戦いなんだよ。たった5機の3Gだけで、巡洋艦3隻に30機の3Gを相手に基地を守り切れるわけがねえ。援軍なんて来ねえからな。粘っても結局磨り潰されて終わりだ。それくらいはわかるだろ?」
「だけどさ」
「律儀に基地を守って全滅してこいってか? 冗談じゃねえ!! 俺たちはそこまでお人よしでも忠義や恩義があるわけでもねえ」
「・・・・・・」
「ローガンが言ってたろ?『絶対死ぬな』って。俺たちの勝利条件は生き残ることなんだよ。俺たちはハナっから基地を守る気なんかねえんだ。ベストのシナリオは、こっちが攻撃している間に敵さんが基地を奪取、そんで俺たちが撤退するのを敵が見逃すってところだな」
「・・・そう、うまく行くか?」
「生き残るために逃げ腰になってちゃあ、相手に付け込まれる。相手にある程度のダメージを与えなきゃあ、見逃してなんてくれねえからな。だからローガンは奇襲に出たんだ」
「・・・そっか」
「ただ、相手が『狂犬』だったのは誤算だがな」
「・・・有名なのか?」
「ああ。俺は独立戦争のときはテラクア正規軍にいたからな。あの人はダイバーから叩き上げの指揮官だ。簡単には逃がしてくれそうもねえな」
表情を引き締めたクリューは、あらためて3D解析装置に目を向けた。複数の敵のデコイが、味方の3Gにまとわりついているのがわかる。
「敵のデコイに攻撃力はねえ!! 無視して『狂犬』に集中しろ!!」
「そうは言っても鬱陶しいぞ!!」
ザクセンの放ったデコイは、わざと46部隊の3Gの顔を中心に群がっていた。人間に例えるなら5㎝ほどの羽虫にたかられているようなものだ。視界が遮られる中、オベリオスが弾幕を張りながら突進してくる。狙いはクラフター。ベネトにはセーブルとゲラルドの2機が護衛に付いているため、固まっている3機を目標にしたようだ。
「ワシのオベリオスに一発喰らわせたのは、あ奴だったな。吹き飛ばしてくれるわ!!」




