命令(2)
惑星国家テラクアの首都「クライオセイン」の近郊に、テラクア政府軍本部のある軍事基地「クライオセイン・ベース」が築かれている。クライオセイン・ベースは巨大なGBUシステムを中央に設置した、難攻不落の要塞でもある。
「ようやく重い腰を上げよったか、腰抜けどもめ」
正規軍X-1中隊司令官「オベイオ・ザクセン大佐」がふんぞり返りながらGHQ司令室を出ていく。
「かねてより中佐が進言してきた侵攻作戦が、やっと上層部に受け入れられたということで」
「フン、遅いわ。反乱軍など力でねじ伏せてしまえばよいのだ」
「まずは橋頭保の確保、ですか」
「うむ。ワシとしては直接本島に侵攻したいところだがな。上層部の連中は補給線を視野に入れた『グラミー島』の制圧が先だと言っておった」
「情報によるとグラミー島は、3個大隊が駐留できる規模の基地が無傷で存在するようです。そこを奪取してしまえば、反乱軍の喉元に切っ先を突きつけるようなものですね」
「うむ、そうなるな。反乱軍が何故使わんのかわからんが、獲れるものは奪ってしまおうではないか」
「さすがに反乱軍も防衛隊を寄こすとは思いますが・・・」
「よいではないか。反乱軍など取るに足らん。久しぶりの戦闘に、我が隊も腕を撫していることであろう」
「ここのところ戦線は沈滞していますからね」
「あっちも腑抜け揃いということだ。小競り合いばかりで、本格的な侵攻作戦など、いつ以来なことか」
「・・・噂ですが、上同士は繋がっているとか」
「フン、政治家など口先ばかりで、きれいごとしか言わんからな。同じ穴の狢として、気が合うのであろう」
「・・・よいのですか?」
「うむ。ワシとて敵軍の殲滅ならまだしも、民間人も含めた敵陣営の滅亡なぞ望んでおらん。古代の侵略戦争じゃあるまいし」
「・・・そうなんですね。『狂犬』とまで呼ばれる好戦派のザクセン大佐のお言葉とは思えませんが」
部下の悪態に、ザクセンは笑顔で応える。
「ワシを何だと思っておるか。上同士が話し合い、最低限のルールを決めるのは悪くなかろう。民間人にはテラクアを担う未来があるのだ。この戦争はテラクアの未来の方向性を決める戦いなのだから」
「・・・意外でした」
「ワシとて軍人としての矜持がある。民間人に手を出すつもりはない」
「恐縮です」
「フン、とはいえ・・・相手が軍人なら別だ。ルールなど無用」
ザクセンの目に狂気が宿る。
「受け取った新兵器は装備できているであろうな?」
「はい。旗艦『オベリオス』に装備させております」
「フン、反乱軍め・・・目に物を見せてくれるわ」




