命令(1)
連載再開します
本部からの緊急案件を終えたローガンは、46部隊の全員を司令テントに集めた。意味を理解している全員が緊張感を身に纏っている。
「で?何だって?」
いつまでも黙ったまま話を切り出さないローガンに、しびれを切らしたマロウが促す。
「・・・出撃命令だ」
「どこに?」
「グラミー島」
テラクア政府のある北大陸と、解放軍の拠点となっているヴィヴァマー諸島のほぼ中間点に存在する孤島である。
「はぁ??? あんなのとっくに放棄された軍事基地じゃねえか!! もう誰も住んでねえだろ?! 何であんなとこへ行かなきゃいけねえんだよ!?」
「・・・命令だ」
ローガンの一言で、マロウは二の句が継げなくなる。ゲリラとはいえ上からの命令は絶対だからだ。命令に逆らうという選択肢はない。
「・・・クソが!!」
吐き捨てたマロウは、パイプ椅子にどっかと座る。
「隊長さんよぉ、本部は敵の規模を掴んでいるんだろ?」
ふてくされたように黙ったマロウに代わり、ゲラルドが発言した。
「敵は1個中隊。母艦3隻だ」
正規軍の平均的な母艦1隻で10機の3Gが搭載されている。単純に見積もって30機の3Gを相手にするということだ。
「で、俺たちはどこの部隊と合流するんだ?」
「それ大事。変なとことは組みたくねえ」
ゲラルドの質問にジョージが乗っかる。
ローガンは腕組みしながら静かに目を閉じる。自分の発言による喧騒を予測するように。
「・・・46部隊だけだ」
一瞬の静寂。
司令テントにいる誰もが、ローガンの言葉を処理するのに数秒かかってしまった。受け入れがたいあり得ない事実に、脳が理解することを拒否したかのように。
しかし言葉の意味が分かれば、次に来るのは疑問と怒り。
「はあ?!ふざけんな!!」「俺たちに死ねっていうのか!?」「冗談じゃねえ!!」「やってられっか!!」
司令テント内に罵声と怒号が鳴り響く。ローガンは黙って隊員たちの感情を受け止めていた・・・が、おもむろに目をカッと見開く。
「うるせえ!! 黙れ、クソ野郎ども!!」
隊員全員の怒声よりも大きな声で一喝した。ローガンの大声に感情に任せて怒鳴っていた隊員たちも次々と我に返る。
ローガンが決めたわけではないのだ。ローガンだってみんなと同じ気持ちなのだ。本部の上層部に面と向かって罵声を浴びせられない分、ローガンの方が理不尽を嚙み締めているだろう。
「フォッフォッフォ。ローガンや、すまんのぅ。お前さんにばかり当たってしまって」
「・・・まあ、こいつらの気持ちもわかりますがね」
ベネトに苦笑いするローガンは、隊員たち一人一人と視線を交わすように見つめる。文句ばかり言っていた隊員たちだが、怖気づいている者はいないことに安堵した。
「全員!! 特にダイバーは覚悟を決めろ!! 但し、絶対死ぬんじゃねえ!!」




