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「じゃあ、このグングニルはクリューにやるよ」
ゼナのDPWDというスポンサーの意志を無視した発言に、カシアンは苦笑を浮かべる。
「いや、ダメだ」
「何でだよ!オヤジ!!」
「クリューはまだ見習いだ。実戦はまだ早え」
ローガンは間を置いた後、思案しているカシアンと正対した。
「これは俺からの提案なんだが・・・グングニルというのは優れた武器です。だったら敢えて弱い3Gに持たせたら、武器の有用性の証明になるんじゃないですかな?」
「具体的に言ってもらえますか?アッシュハウンドですか?それともハイホークXですか?ブルドッグⅡでも悪くないと思いますが・・・」
「いや・・・クラフターに装備させたいんですよ」
「オヤジ!!」
不服そうにしていたゼナの表情が一変する。
「クラフターって、あの・・・作業用のですか?」
「ええ。この46部隊にクラフターが配備されたんですが、戦力として考えるとどうしても・・・そこでこのグングニルがあれば、クラフターでも戦力になるのではないかと思いまして」
ローガンの提案に、カシアンは顎に手を当てて考えた。
「少し失礼します」
おもむろに小さくて薄い箱状の端末を懐から取り出し、耳に当て誰かと会話を始める。
「・・・はい。はい。・・・ええ。そうですね。・・・わかりました」
会話を終えたカシアンは、笑顔でローガンの方を向く。
「上司の許可が下りました。クラフターにグングニルを装備させても、問題ありません」
カシアンの言葉にローガンはどうだと言わんばかりの笑みを浮かべ、ゼナがローガンに抱きつく。
「さすが、オヤジ! よかったな、ポチ」
「いや、オレはどっちでもいいんだが・・・」
「早まるんじゃねえよ。クラフターの正ダイバーはベネトの爺さんだ。クリューはまだ見習いだぞ」
「え~!?」
不満の声を上げたのはクリューではなくゼナだ。プリプリ怒っているゼナをクリューはやれやれと言った表情で眺めていた。
「老い先短いジジィを、こき使わんで欲しいのぅ」
柔らかな笑みでベネトが現れる。
「老い先短いからこそ、こき使えるってもんだろ?」
「ひどい隊長じゃわい。老人虐待で訴えてやろうかのぅ」
二人は大笑いした。
「それだけベネトさんのことを買ってるんですよ。なあ、クリュー。悔しかったらお前も・・・あれ?」
マロウがクリューを見ると、意外なことにクリューに不満の色が見えない。
「お前、悔しくないの?」
「・・・悔しくないと言ったらウソになるけど、オレに実績がないのは確かだから。いずれ証明してやる」
クリューの力強い瞳に、周囲の大人たちは期待に満ちた目を向けた。
「もう一つ許可をもらいました」
ローガンたちが話しをしている間、カシアンは上司と話しをしていたようだ。
「スノーバードにPPAを装備します。単純に言えば接近戦用の武装で、スノーバードのどこにでも位相制御させた光子を身に纏うことが出来るようになります。つまり光子のパンチやキックを打てるようになるのです」
「マジで!?」
喜色満面のゼナが叫ぶ。
「・・・いいんですか?」
「はい。PPAはスノーバードの元となった機体の標準装備だったのです。大した手間はかかりませんよ」




