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「よっ、ポチ。出迎えご苦労」
DPWDの検査を終えたゼナが、クリューに手を振る。
「検査って何されたんだ?」
「ああ。裸になって、いろんなところにいろんなセンサー張り付けて、変な機械の中でグルグル回されてた。まあほとんど寝てたからよくわからねえけどな」
屈託なく笑うゼナだが、クリューの表情は微妙だ。
「心配すんなって。痛いことはされてねえから」
「ただの検査ですから。スノーバードの解析記録とのシンクロ性などを調べさせてもらいました」
ゼナをフォローするように、カシアンが検査の詳細を説明する。もちろんクリューには何が何だかさっぱり理解できないのだが。
「ゼナさんもいることですし、私たちが持ってきた積み荷を開封しましょうか」
長さ20m以上もある細長いコンテナが、テキパキと開封されていく。
「何だ?何だ?」という声と共に、野次馬のように隊員たちがぞろぞろと集まってきた。
現れたのは砲身が長く、ロングレンジスナイパーライフルに似た3G用の銃だ。
「この銃の特徴は、専用のGBUシステムを内蔵し、Hi-QCによる自律AIを搭載した『インテリジェンスウェポン』であるということです」
「「「インテリジェンスウェポン???」」」
「・・・って何だ?」
クリューだけがインテリジェンスウェポンの意味すらわかっていないようだ。
「銃そのものが知性を持ち、独立で敵を察知し攻撃できるのですよ。射程は推定1万m以上。『グングニル』と名付けました」
グングニルとは、北欧神話で主神オーディンが持つ「決して外れない槍」の名前であり、投げれば必ず敵に命中し持ち主のもとへ戻るとされる神槍である。
「弾丸はブラックホールエンジンから出る高エネルギー光子で、光子群の位相を揃えたモノになります。命中すると光子の位相が崩壊して、局所爆発を発生します。まあPPAと似た原理ですね」
PPAとはPhoton Phase Array(光子生成・位相制御システム)の略なのだが、カシアンの説明でグングニルの性能を理解できた者は一人もいなかった。
「あ、失礼。私は元技術営業職だったもので、つい余計な説明をしてしまう癖がありまして・・・」
「いや、理解できないこちらの勉強不足だ。カシアンさんが謝る必要はありませんよ。ただ、我々は無学なので単純に性能を教えてもらいたいですがね」
ローガンがカシアンに隊員たちを代表して、軽く謝罪した。
「簡単に言えば無制限の光子の弾丸を撃てる高射程ライフルですね。自分で敵を補足できるので、3G側は大まかに狙いをつければ、後はグングニルが照準を合わせて狙い撃つことができます」
「ヒュ~♪」「すげえ!!」「イカすぜ!!」
周囲の隊員が歓声を上げる中、ゼナは神妙な面持ちでグングニルを見つめている。
「アタシ、射撃って好きじゃないんだよな・・・」
ゼナはカシアンに向き合った。
「これって、誰が使ってもいいの?」
「そうですね・・・グングニルは特にスノーバード専用ってわけじゃ、ありませんが・・・」
カシアンの歯切れが悪いのは、本音ではゼナのスノーバードに使ってほしいということだろう。しかしゼナはカシアンの思惑を知った上で話す。
「じゃあ、このグングニルはクリューにやるよ」
ゼナが不敵にほほ笑んだ。




