見習いダイバー(8)
「セーブルは、やけにクリューのことを買ってるんだな」
「それを言うなら、マロウもベネトさんもクリューのことを認めてるんじゃないの?」
「ハイハ~イ! アタシもクリューのこと、認めてるよ!!」
「嬢ちゃんはアイツを連れてきた張本人じゃねえか・・・」
「ワシはのぅ30年ほど前じゃな・・・クリューに似た雰囲気を持つバケモノと会ったことがあるんじゃ・・・」
「30年前っつ~と、俺と会う前の話か?」
「そうじゃ。テラクア独立戦争が始まった頃じゃ・・・ワシの部隊は帝国の援助によって調子に乗っとってなぁ、最前線でカナントの大軍に囲まれてのぅ・・・」
マロウは酒の入ったコップを見つめる。
「絶望的じゃった・・・ワシは死を覚悟した・・・その時じゃよ。バケモノと出会ったのは・・・」
マロウは酒をグイっと飲み干した。
「キレイな女子じゃった・・・年のころは30前後かのぅ。チャイナドレスという古典的な服装で、訛りの強い言葉を話しておった・・・どうやってワシらの部隊に紛れ込んだのかはわからんがのぅ、その女子が『殿を務める』と出ていったんじゃよ・・・見たこともない3Gに乗ってな・・・」
「見たこともない3Gって、どんなん?」
「ワシらの3Gとはまるで違うぞぃ。美しい女性のシルエットに翼が生えておった。じゃがなぁ、黒を基調としておってなぁ、美しさよりも恐怖の象徴みたいな雰囲気じゃったよ」
「恐怖の象徴・・・」「ゴクリ・・・」「そんで?」
「敵は100機ぐらいいたはずじゃったが、彼女は一人で全滅させおった・・・帝国のER隊とか言っとったな・・・ありゃあ、ホンマもんのバケモノじゃよ・・・」
他の三人は息を飲んでいる。数秒後、マロウがようやく口を開いた。
「・・・その姉ちゃんが、クリューに似てるっていうのか?」
酒の入ったコップを見つめながら話しをしていたベネトが表情を変えた。
「いやあ、全く似とらん」
ガクッ。
「だってそうじゃろ? 小僧と妙齢の美人じゃぞ? 似とるわけ、なかろうて!!」
「ベネト爺ちゃん、似てるって言ったじゃん!!」
「雰囲気じゃ!! ふ・ん・い・き!!」
ベネトは軽く溜息をつく。
「どんな状況でも自信あふれる態度がのぅ、似とるんじゃよ。クリューと美女がのぅ」
ベネトは赤ら顔で遠くを見つめる。
「・・・ひょっとして爺ちゃん、その女の人に惚れてたんじゃないの?」
「いやあ、相手にならんじゃろ。何せ、500歳は超えてる言うとったからのぅ・・・」
「「「500????」」」
「訛りの強い標準語で『クローン転生しとる』って言うとった。ありゃあ、正真正銘のバケモノじゃよ」
「クリューも・・・そうなのかな?」
ゼナが誰にも聞こえないような小声でつぶやいた。




