見習いダイバー(7)
日もとっぷりと暮れ、46部隊のテントでは夕食の時間だ。テントの周囲で隊員たちが焚火に集まり、それぞれ適当に分かれて食事を摂っている。
仕込み銃でのコウモリ狩りを行うクリューを残して、ゼナとマロウ、ベネトの3人は固まってスープとパンの乗ったトレイを簡易テーブルに置いて座っていた。
「ゼナは意外と力があるんじゃのぅ」
帰りはマロウではなくゼナがベネトをおんぶしていたようだ。
「ベネト爺ちゃんが軽すぎるんだよ。ちゃんと食べてる?」
「フォッフォッフォ~。じじいはメシより酒が好きじゃからのぅ」
見るとトレイにはパンではなく液体の入ったコップが置いてある。
「ああ、酒は『命の水』だぞ。これが無きゃ、戦争なんかやってらんねえよ」
マロウのトレイには山盛りのパンと大きなジョッキも乗っていた。
「酒の味だけはわかんねえよ・・・アタシはストロベリージュースの方がいいね」
ゼナのトレイには真っ赤な液体の入ったジョッキが乗っていた。
「嬢ちゃんはそれでメシ食うのかよ・・・信じられん」
「いいじゃん!! 女の趣味にアレコレ言うと、モテねえぞ!!」
「女がいたら、こんなとこにいねえよ!! もっと田舎で女と乳繰り合ってらぁ!!」
「ゼナよ、マロウはセーブルがおるから、ここにおるんじゃ」
「あ、な~るほど!! 合点がいった!!」
するとゼナはイスから立ち上がり、配膳をしているセーブルに向けて手を上げた。
「お~い、セーブル! マロウが話があるって!!」
「お、おい! バカ!! よせっ!!」
慌てたマロウが、ゼナの手を無理矢理下ろさせる。しかしセーブルはエプロンを外し、自分のトレイを持って近づいきた。
「ちょうど一段落ついたからね。私も御相伴に預かろうかしら」
「どうぞどうぞ」
ゼナがニヤニヤしながら、マロウの隣にセーブルを座らせる。
「あら、マロウ。アンタ飲み過ぎてんの? 真っ赤じゃないの」
「・・・うっせ~」
マロウは赤い顔のまま、セーブルから顔を背けぶつぶつ言っていた。
「そういえば、クリューは? 一緒だったんじゃないの?」
「・・・修行じゃ」
「コウモリ狩りしてるよ」
「はぁ? なにそれ」
「だから、修行じゃよ」
「コウモリなんて狩って、どうすんのよ。食べられないでしょ?」
「クリューは食べるんだとさ」
「心配すんな。どうせ1匹も獲れやしねえよ」
「そうだよね~」
「わからんぞぃ?」
「ほぅ~。じゃあベネトさん、賭けるか?」
「よかろう。ワシはクリューのオケラに10クレド」
「あ、きったねぇ~!!」
「アタシも!! クリューはゼロだね!!」
「嬢ちゃん、金持ってんのか?」
「オヤジに強請れば、出してくれるよン。ああ見えて娘にゃ甘いんだ」
「アハハ、わかる~。アノ人、強面のくせに甘々だよね」
「俺も、クリューは狩れないと見た」
「ズルい!! それじゃあ、賭けになんないじゃん!!」
「セーブルがいるだろ!!」
「私? 私も賭けるの? だったら金なんて無粋な真似はやめて、賭けに負けたら何でもいうことを聞くっていうのはどう?」
3人の目がキラリと光る。
「「「乗った~!!!」」」
「よくわかんないけど、クリューは狩ってくるわよ。きっと・・・」




