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重霊機モルスレプス(Gravity Ghost Gear MORS LEPUS)  作者: 高戸 賢二
初陣

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15/31

見習いダイバー(3)

<I字隊形に移行>

「クリュー、隊のケツに付け!!」

<I字隊形維持のまま、速度を上げる>

「クリュー、スピードを上げろ!追い抜くなよ!」

<V字隊形に移行>

「クリュー、お前は左端に行け!」

<クラフター、下がり過ぎだ>

「お前、もうちっと前へ出ろ!!」

(我ながら、なんなんだよ。・・・このクソ翻訳)

 クリューのクラフターを入れた、5機の3Gによる編隊訓練。

 マロウは隊長機であるアッシュハウンドからの霊子通信を、電波無線機でクリューに伝えている。しかも軍用語を知らないクリューにも理解できる言葉に変えて。

<想定戦闘空域に到達。右翼より順に散開せよ>

「クリュー、お前は最後に散開しろ」

「マロウ、『サンカイ』って何だ?」

「バラけろってことだ!!」

<クラフター、突出し過ぎだ>

「クリュー、突出・・・じゃねえ!!前に出すぎんな!!」

「バラけるんだったら、どこに行ったっていいだろ?」

「いいから、下がれ!!このスットコドッコイ!!」


 編隊訓練を終えた5機の3Gが、司令テント脇に帰還する。4機は木々に囲まれた空き地に着陸するが、クリューのクラフターだけが枝をなぎ倒しながら大木のすぐ近くに降りてきた。下で待つ整備班が落ちてきた枝から逃げ回る。

 パキパキと小枝を降りながら、クラフターのコックピットハッチが開く。

「このクソガキ!!危ねえだろ!!」

 整備班を代表してギャビンが怒鳴っていた。

「あ、悪りぃ悪りぃ」

 クリューはコックピットから軽く手を上げ謝るが、表情に反省の色はない。

「この方が早く下りれるじゃん」

 言うや否や、クリューは大木の枝に飛び移り、あっという間に地面に着地する。野生の猿のような動きに、ゆっくりとワイヤーで下りているセーブルが呆れていた。

「やるなあ、ポチ。アタシも今度からそうしようかな」

「やめろ!!スノーバードに傷がつく!!」

 先に降りていたゼナがクリューを褒めるが、ギャビンが必死に止める。

 それらの様子をマロウは司令テントの入り口で、溜息をつきながら眺めていた。

「ご苦労だったな、マロウ」

 ローガンがマロウの肩を軽くポンと叩き、労いの言葉をかけた。

「へっ、そりゃどうも・・・」

 ・・・ヒトの気も知らねえで。

 マロウが卑屈に笑う。

「お疲れ様。あの子、段々サマになってきたわよ。マロウのおかげね」

 続けてセーブルがマロウに声をかけた。

「ホントに『お疲れ様』だぜ・・・」

「???」

 マロウの言葉の意味がわからずに、首をかしげながらテントに入っていくセーブル。マロウとクリューの電波無線の内容は二人にしか聞こえていないのだから。

「あ、マロウさん!!」

 クリューが満面の笑顔で手をブンブン振りながらマロウの元へ走ってきた。

 ありゃあ、犬だな。手じゃなくてしっぽが見える。「ポチ」と呼ぶ嬢ちゃんの気持ちがわかるぜ。

「マロウさん、サンキューな!! 実戦でも何となくうまくできそうだ」

 ・・・どこがだ。あんなんじゃ、まだまだ実戦じゃ使えねえ。

「お、おう・・・俺に任せとけ」

 本心を隠して、マロウはぎこちない笑顔を見せる。

「でもな~、マロウさん」

「・・・何だ?」

「もうちぃっと、わかりやすく言ってほしいぜ」

「あれ以上、わかりやすくできるかっっ!!!!!!」



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