クリューという少年(12)
クリューは海が一望できる丘の草むらに寝転がって、ぼ~っと空に浮かぶ大きな輪を伴った月を見ていた。
そういえば、アレって月じゃねえんだな・・・何て言うんだろう・・・
突然クリューの視界から空が遮られる。代わりに透き通るような白い素肌の細い両足と、付け根を被う白い布。
「ほら、美少女のパンツ見て元気出せよ、ポチ」
「だ、誰がゼナのパンツで元気が出るか!!」
赤くなったクリューが、慌てて上半身を起こす。
「そうだよな。嬢ちゃんのパンツ見て元気になるのは、ロリコンのゲラルドぐらいだぜ」
マロウが後ろからゼナのスカートをめくり、しゃがんでパンツを眺めている。
「ひゃっ!」
ゼナは素早くスカートを押さえて飛び退いた。
「「マロウ!!」」
「よっ、お二人さん。相変わらずイチャイチャしてんな」
「「してねえし!!」」
「息もピッタリじゃねえか・・・」
にこやかなマロウはゆっくりと立ち上がる。
「よっこらせっと」
「何しに来たの?」
「別に嬢ちゃんのパンツを見に来たわけじゃねえよ。用があんのはチビの方だ」
「オレ?」
「おう。『反則負けのクリュー君は、見習いダイバーとして、しばらく教官のもとで勉強しろ』との隊長様からの命令だとよ」
「ちぇっ・・・見習いかよ・・・」
「そうゆうこと。んで、俺様がその教官」
「マロウが戦い方を教えてくれんのか?」
「お前に教える戦い方なんかねえよ。反則とはいえ、クラフターでセーブル相手にあれだけやれりゃあ言うこたねえ。お前に教えんのは、常識だ」
「じょうしき???」
「そりゃそうだろ? おバカに戦場をひっかきまわされちゃあ、命がいくつあっても足りねえとよ」
「じょうしきがありゃあ、強くなれんのか?」
「アハハ。強くなるかはともかく、背中を預けられるようにはなるんじゃねえのか? 今のお前は危なっかしくて、手に負えねえ」
「そっか・・・」
クリューは深く考え込むような仕草を見せる。
「マロウ・・・いや、マロウさん。よろしくお願いします」
深々と頭を下げるクリューに、拍子抜けしたのはマロウの方だ。
「ど、どうした? やけに素直じゃねえか・・・」
「仲間といっしょに戦うなんて、思ってもみなかった。戦争って一人で戦うわけじゃないってことなんだろ? オレさえ強けりゃいいって思ってたけど、そうじゃないことを教えてくれるんなら、それはもう一つの強さだから・・・その・・・」
「ポチ、何言ってっかわかんねえぞ?」
「おバカだからな、それぐらい大目に見てやれ」
「お前ら、いい加減、クリューって呼べよ!!」
「「アハハハハ」」
ダイバーとしてのクリューの旅が、これから始まる。




