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重霊機モルスレプス(Gravity Ghost Gear MORS LEPUS)  作者: 高戸 賢二
クリューという少年

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10/31

クリューという少年(10)

「なあ、ポチ。アレ、どうやったんだ?」

 ゼナがクリューの背中に覆いかぶさりながら、顔を寄せて聞いてきた。男女の3歳差は女子の方が成長が早いこともあり、頭一つ近くゼナの方が大きい。

「あ?・・・説明できねえよ」

 赤くなった顔をゼナから背けるように、クリューはそっけなく言い放つ。

「意地悪すんなよ~。コツとかあんだろ?」

 ゼナが頬をすり合わせると、クリューは首がねじ切れるのではないかと思われるほど顔を背けた。

「うるせえ、くっつくな、離れろ」

「お? 何だ? 照れてんのか? 顔が真っ赤だぞ?」

 ぴったりとゼナが張り付いた背中からは、Tシャツ越しに胸の感触が伝わってくる。

「ブ・・・ブラとかしねえのかよ!!」

「あ? 3Gに乗るときは全裸になんだぞ。んな、邪魔なもん着けるわけねえだろ」

 ゼナがクリューの背中に胸を押し付け、クリューの顔が「プシュ~」と音がなるほど赤くなった。

「お? アタシの胸に欲情してんのか?」

 ニィ~っと悪い顔で、ゼナが息を吹きかけながらクリューの耳元でささやく。

「バ・・・バカ!!誰がペッタンコで欲情するか!!」

「・・・ヒトが気にしてることを~!!」

 ゼナの細い腕がクリューの首に回り、スリーパーホールドを決める。

「わぁっ!!ギ・・・ギブ・・・」

「お前ら、何やってんだ?」

 じゃれ合う二人の前に、いつの間にかローガンが立っていた。

「ちょうどいい。全員をテントに呼べ」

 無表情のローガンが静かに言うと、そのままテントへと身を翻した。

「・・・なんだ? あの雰囲気」

「何か・・・変だな」 

 二人はキョトンとしたまま動きを止め、しばし見つめ合っていた。


 46部隊の司令用テントに部隊員15人が集められた。デコイの映像を操作する通信員だけが座っていて、ローガンを含め残り全員は立っている。

「何が始まるんだ?」「・・・さあ?」「何かあったのか?」「さっきの模擬戦か?」「小僧の勝ちじゃねえのか?」

 隊員たちがざわつく中、クリューとゼナも顔を見合わせている。

「オレの勝ちだよな?」

「だよな?」

 ローガンは憤怒のこもった視線だけで隊員たちを黙らせると、通信員に声をかけた。 

「キャロル、例の映像を出せ」

「はい」

 眼鏡をかけたキャロルが機器を操作し、小さいモニターに模擬戦の様子が映し出される。隊員の中でもダイバーたちが最前列に出てきて、整備や衛生担当は興味ないとばかりに後ろに引っ込んだ。

「ここで止めろ」

「はい」

 映像はクリューが黒い球体を出したところで停止した。

「・・・クリュー。これが何だか知っているな?」

 クリューは名前で呼ばれたことに喜んだが、映像を見ると困惑した表情を見せる。

「知らねえ」

「知らずにやったのかよ・・・」「こいつバカなのか?天才なのか?」「アレは何なんだ?」

 再びざわつく隊員の中、マロウはこめかみを抑え、セーブルは固い表情を崩さなかった。



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