記憶
長いです、お時間ある時にお読みください〜!
朝食をすませた二人は、しばらく黙々と各々の作業を行った。わたしはお皿洗いを、師匠は部屋の掃除を。
目の前のお皿をぴかぴかにしながら、わたしはそっと目の端で師匠の姿を追う。
(あれから師匠は何も言ってくれないし……わたしの告白は一旦保留にされているのかな。それとも、なかったことにされている……?)
己の師匠の意図が読めないまま、ここ数日を過ごしたが、わたしの精神はもうそろそろ限界を迎えようとしていた。それすなわち、羞恥心がむくむくと顔を出してきたことに他ならない。
(むぐぐ、師匠め……女性からの告白をうやむやにするなんて! なんて罪深い人なんだろう)
ルイスの姿を目で追うのをやめたわたしは、お皿についた泡をためておいた水で洗い流しながら、小さく息を吐き出す。
しかし、面と向かって彼を責められないわたしも、大概彼に甘いのだ。しかも、彼はこの三日間の間に熱を出してしまったわたしの看病を一生懸命してくれた。真心込めてくれているように感じたわたしは、それを思い出すだけでときめきを覚えてしまうのだからもう恋の病も末期だろう。
「ふう……」
お皿洗いをすませ、次は洗ったお皿を拭こうと布巾を手に取ったわたしの右手を、師匠が掴んだ。大きくて、ごつごつとした手だ。
「師匠?」
右後ろにいる師匠を振り返ると、彼は真剣な光を宿した瞳をこちらに向けていた。
「……話したいことがある」
「……」
その顔によほど重要そうだと思ったわたしは、躊躇った後頷いた。
もし、告白を断られて、家を出て行けと言われたらどうしよう。
そんな思いがよぎるが、すぐに追い出されることはないはずと自身をなだめ、微かに震える手で二人分の珈琲を入れた。自分のものはミルクをたっぷり、ルイスのはブラックのままで。
そして先に座っていたルイスの真向かいのソファに、わたしも座ると師匠の顔を見た。ここで逃げていては始まらない。これは告白問題のみならない重要な問題についての話し合いなのだから。
「……それで、お話というのは何でしょうか?」
いつもよりも堅い口調で尋ねたわたしに気づくことなく、師匠は形の良い唇を開く。
「まず、お前に謝らなければならないことがある。———俺の素性について隠していたことだ」
身構えていたわたしは、ぽかんと口を開いた。間抜けな表情だということは自覚していたが、どうしても驚きを禁じ得なかった。
「……え? いや、そんなことですか?」
「そんなこと、ではないだろ。俺はお前に隠し事をしていたんだ。同居して、師としてあおいで貰っていたのにも関わらず」
「いや、そんなことですよ。なんで今更わたしがそれを気にすると? ……どうせなら、もっと別のことを謝って欲しいんですけど」
つい、記憶をもって二度目の人生を歩んでいない師匠に、文句が口をついて出る。しかし、後半は幸いにして聞こえなかったようで師匠はぐっと深く頭を下げた。
「それでも、申し訳なかった。俺は隣国の公爵家の生まれなんだ。事情があったとはいえ、隠していてすまなかった」
わたしは、驚きとともにその謝罪を受け止めた。
(師匠、律儀だなぁ。そんな謝らなくても良いのに……。それより、公爵家出身......! 思っていたより高貴な身分の方だったんだ......)
そんなことを思いながら、そうなんですねと相槌を打つ。
だが、わたしは全く怒りを覚えていなかった。
むしろ、謝罪しなければならないと言えば、師に恋慕の情を抱いたわたしの方ではなかろうか。そのことに思い至り、冷や汗を流しながら、わたしは微笑んでみせた。
二回目の人生において、残念なこともたくさんあったが、恩恵もたくさん貰った。例えば、誤摩化すための笑顔が自然なものになったとか。
「気にしないでください。事情があると言うのは分かりますし、元貴族である以上、わたしもそこらへんは弁えていますから」
「……ありがたい。———それで、今回のアメリアの誘拐事件に関することだが」
師匠はほっと頬を緩めた後、きりりと表情を引き締めた。真剣な彼の表情に、わたしも気を引き締める。
「真相が、分かったんですか?」
「ああ。今回の件は魔法陣から全て国王が仕組んだものだ」
「っ……」
予想していたとは言え、師匠の口からはっきりと聞いてしまうと、真実味を帯びて聞こえた。
「……動機も分かっているんですか?」
「前回、言った通りやはり世界征服を企んでいたらしい。そこで、アメリアの膨大な魔力を利用し、闇魔術を使おうとしていたようだ」
わたしの魔力は、一流魔術師の二倍はある。そのため、全ての国を支配下に置きたいという願いを叶えるための闇魔術を発動するために必要な魔力量にちょうど良かったのだろう。
(闇魔術は繊細な分、同じ魔力で操作を行う必要がある。わたしの魔力を全てつぎ込んででも、発動したかったんだ……)
納得したは良いものの、恐怖はその分大きくなる。
小刻みに震え始めたわたしを見て、師匠は心配そうに眉を下げた。そして、自分が座っていたソファにあった毛布を手渡してくれる。
少しでも安心させようとしてくれるその行動に、わたしはほっと頬を緩めた。
「ありがとう、ございます」
「ああ。……話を続けて良いか?」
どうぞ、と目で了承してみせれば、師匠は申し訳無さそうな顔で続きを話し始める。
「ありがとう。———それで、お前が寝ている間、問題は全て解決した」
「……え?」
今までの恐怖の語りから一転、急に解決したと言われ、戸惑う。わたしのきょとん顔から、師匠は戸惑いを察したらしい。だがこともなげに続けた言葉に、わたしはまたもやぽかんとすることになった。
「王太子が国王になったからな」
「……は!?」
「国王は体調不良のため、息子に座を譲り、療養のため離宮にて過ごすことになったそうだ。もちろん、表向きだがな。思ったよりあの王太子が早く動いたみたいだ」
「……ええ?! っ、じゃあ!」
わたしの希望に満ちた声に、師匠は柔らかく微笑む。今までに見たことがないほど、優しさと慈愛に満ちた、———いや。
(わたしはこの笑顔を一度見ている)
その瞬間、わたしは視界がふらつくのを感じた。急激に、記憶が流れ込んできたからだ。そして、焦っている師匠の顔を最後に見て、わたしは意識を失った。
♦︎♦︎♦︎
「おーい、アメリア。薬草をいくつか取ってきてくんねえか?」
ぐつぐつと何かを煮込むような音。料理の匂いがするはずなのに、わたしの『記憶』では、水仙の香りがしていた。
それも、黄色い水仙だ、とわたしの直感が告げている。なぜだかは、分からないけれど。
「わかりましたぁ、いつもの量を取ってきますね!」
『記憶』の中のわたしは、元気よく答え、薬草を入れる用の小さな籠を持って家を出た。
それが最後の家と師匠との会話になるとは思わずに。
「あーっ! 綺麗な薬草のまま残ってる! 珍しい!!」
わたしと師匠の家は、自然が極めて近くにある場所にあった。そのため、自然なまま生きている薬草がすぐ近くにあり、重宝していたものだ。
しかし、自然が近いだけに、『魔物』が多く、危険な場所でもあった。そのため、師匠は魔物よけの結界をはり、できる限り魔物が近づかないようにしてくれていた。
元来、魔術師とは魔物を倒すためにいる。攻撃魔法に特化した魔術師もいれば、回復魔術を中心に扱う魔術師もいる。それぞれがそれぞれの役割を果たしながら、協力して魔物を倒すのだ。
わたしは、半々の魔術師になろうと修行中だった。攻撃魔術も、回復魔術も扱える魔術師になると、決心したばかりの頃だった。
「うふっ、これは師匠も喜ぶだろうなぁ!」
わたしは、過去の自分視点で『記憶』を辿っているようだ。その間に、色々と思い返していくと、はっと『記憶』の中の自分が息をのんでいた。
意識を『記憶』に戻す。
「ひっ」
喉の奥から、引きつったような声が出る。籠を放り出し、ずさっと尻餅をついてしまう。そのまま、後ずさりをするわたし。
夢の中にいるような感覚のはずなのに、恐怖は染み付いているようで、わたしは知らないうちに過呼吸になっているようだった。けれど、起きられない。この悪夢から逃れたいのに、叶わない。
目の前にいたのは、巨大な魔物だった。
大きなクマほど、図体が大きい。訓練中のわたしでは、到底かなうはずも無い相手だ。ごくり、と息をのむ。どうすれば、助かるだろうか。
必死に固まる頭を回転させ、考える。
(どうしよう、どうしよう! 家は、遠い。いつの間にかと奥まできちゃっていたみたい。どうしよう、逃げたら必ず追ってくる)
顔はきっと青ざめ、身体が震え始めていただろう。
現に、目の前の魔物はよだれをぼたぼたと垂らしている。お腹が減っている証拠だ。
(魔物はときに、人間も食べる。『お腹がよっぽど空いているときは』)
そのことを冷静に思い出し、ますます恐怖は強くなった。ぎゅっと身体がこわばる。
そのとき、ふと師匠の声が脳裏に響いた。
『良いか? 魔術を使うときは、精神を統一するんだ。特に何を思う必要もない。単に、己が敵を倒すこと。それは必然的であり、絶対であることのみを意識しろ』
師匠の言葉は、いつも的確で、わたしができていないことを中心に教えてくれた。
『それから、身体の中にある魔力の流れを探る。そして、自分の呼吸と合わせて初めて、魔術は使える。もしも、精神が安定していなかったり、魔力の流れが分かっていなければ、魔術は安定しない。爆発事故を起こす可能性だってあり得る』
師匠の低く、芯が通った声は、わたしの耳にいつも心地よく響く。
彼の声を思い出した記憶の中の『わたし』は、いつの間にか落ち着き払っていた。頭が冴え渡り、身体も震えが止まっている。
わたしは静かに立ち上がり、目の前の魔物を見据えた。大きさを大体で把握し、どの魔術が一番効果的かを計算する。その間にも、魔法の杖を取り出し、魔力を込めた。魔物とわたしの対峙。
おかしなくらいに、しんと静まり返った場。そのおかげで、いつもよりも五感が冴えている。ふううう、と呼吸を繰り返す。
深く、深く。
「グゥォオオオオッ」
雄叫びを上げて、魔物が動いた。片手を振りかぶり、わたしを潰そうとしてくる。
咄嗟に、後方へ飛び退りながら、魔術を放つ。
ゴオオオオオオンッ!!
すごい音をたてて、魔術を放ちながら、魔物と戦う。次の攻撃を読みながら、いくつもいくつも魔術を放つ。
「うぐっ……!」
その魔物は、鋭い爪と牙をもっていた。更に、十分に一回、あり得ないほどの強さを誇る雷魔術をこちらに放ってくるのだ。それを防御結界で防ぎながら、攻撃を遣り過ごし、次の最善手を考える。一番効率よく相手の面積を大きくえぐるための魔術を。
それがどれだけ繰り返されただろうか。
「はあっ、はあっ・・・!」
いつしか、わたしの息は荒くなり、魔力も減ってきていた。当然だ、一発火炎魔術を放つだけで、魔力を十は使う。わたしの魔力は最大二百まで。そこに防御結界を張り、避けるために身体強化の魔術をもかけると、魔力はあっという間に減っていってしまった。体力はとっくの昔になくなり、もう今は根性で動いている状態だ。
音に気づき、師匠がきてくれないかとも思ったが、ここは森林だ。それも奥の方。音は殆ど、草木が吸収しているだろう。気づくはずも無い。わたしは、一人で戦うしか無かった。
次の魔術を放とうとしたら、どさっと音をたてていきなり膝が崩れた。体力の限界を超えている。魔力は残り三十。生命維持のために必要な魔力量は最低でも二十五だ。
本能が警戒音をならす。目の前の魔物はわたしと違い、攻撃を食らった瞬間から治癒を始めている。相手の魔物は恐らく魔力が三百はある。よって魔物は殆ど無傷だ。こちらを見定めた魔物は、のっしのっしと近づいてきた。
「きゃあああああああっ!」
もう後は狂ってしまったのか、記憶が途切れ途切れだ。光が明滅しているかのように、断続的で、全てを思い出せない。だが、気づいたら、わたしは地面に倒れていた。
腕が肘から下の感覚がない。
辛うじて、俯くようにお腹の方を見ると、ぽっかりと穴があいているようにも見える。そこから、だくだくと血が溢れ、地獄絵図だった。
魔物は何故か消えていた。別の獲物を見つけたのだろうか。わたしよりも、ご馳走になるものを。
はっ、はっ、はぁっ、は。
自分の呼吸音だけが響き、視野が狭まっていく。狭窄していくのが分かる。
(し、しょう・・・)
「し・・・」
師匠。そういいたいのに、動かせない。唇が動かない。身体も動かなくなってきた。
もう駄目だ、死んでしまう。
その刹那。
「アメリアっ・・・!! アメリアっ!!!! どうして、うああああああああああっ!!!」
あれだけ聞きたかった声が、わたしの名前を、呼んでいる。
師匠が、叫んでいる。わたしは、閉じかけていた瞼を開き、何とか師匠の姿を瞳に映そうとした。
だが、無理だった。
最後に目に映ったのは、———————。
黄色い水仙の上に、魔術が浮かび上がっている姿だった。
♦︎♦︎♦︎
思い出した。
ふわあ、と意識が浮上する感覚にあわせて、視界に光を感じた。
「……ん」
眩い光を感じながら、目を開くと自分の部屋でベッドに横たわっていた。そのことを理解すると同時にすぐ飛び起きる。ずきずきと頭が痛み、熱をもっているらしい身体はだるさを感じたが、そんなことどうでも良かった。
それよりも、この記憶を思い出してようやく分かったことがある。とても重大なことで、なぜ今までそのことに思い至らなかったのか不思議なくらいだった。
青ざめたわたしは、心の中で思ったことを言葉にした。
(わたし、今まで死んだときのこと一切思い出してなかった……)
そう、今まで一度も、である。
普通、死んだはずの人間が死に戻ることなんてない。しかし、わたしの場合はそれがあった。あり得ないはずの状況に、やはり気が動転していたのかもしれない。そのせいで、死に際のことを一度も思い出すことなく生きてきた。だが、人はいつか冷静になる時が来る。
ここまで考えると、考えられることは限られてくる。すなわち、わたしが死ぬ間際にかけられた魔術による効果だ。
「……そういう魔術、だったのかな? でも、黄色い水仙がわたしのそばに投げ出されていた。それは間違いない。となると、その魔術には黄色い水仙が使われた? いや、師匠が」
「俺が、どうしたんだ?」
「っ、きゃああ!?」
いないはずの師匠の声が聞こえて、驚いたわたしは思わず悲鳴をあげる。ばくばくっ、と心臓が音をたてるのを感じながら扉の方を見るとそこにお盆をもった師匠がいた。お盆の上には水差しとコップ、それから手ぬぐいが載っており、わたしのためにもってきてくれたようだった。
「し、師匠」
「起きたか。どうだ、体調は」
「も、もう平気、です」
「そうか。それは何よりだ。安心したせいで、気が緩んだんだろう。今まで相当疲れてきただろうしな」
そう言ってわたしに水を差し出し、無表情でベッド近くの椅子に座る師匠は、こともなげに続けた。
「ところで黄色い水仙って何の話だ?」
「っ!? ぶふっ」
ごくごくと飲んでいた水を吹き出してしまった。けほけほっと咽せたせいで咳が出る。師匠が落ち着いてわたしからコップを取り上げ、背中をさすってくれたおかげで咳はおさまったが、動悸はおさまらない。
師匠に、聞かれていた。
そう気づき、師匠の顔が見られない。微妙にそらしたわたしにまたもや師匠が問いかける。
「なあ。アメリア。黄色い水仙ってどういうことだ」
「……っ」
思ったよりも深刻そうな表情でそう問われる。瞳はまるでわたしを心配しているかのような光を浮かんでいた。胸が詰まりそうになる。
目を伏せ、黙りこくるわたしに言葉を重ねる。
「あのなぁ、俺はそんなに頼りないか?」
「え?」
予想していた言葉とは全く違う趣旨の言葉が並べられ、混乱する。それよりも前からずっと、聞かれていないと思っていた独り言を聞かれたりと、混乱していたのに。
「……ち、ちがっ」
「なら、話せ」
理解したと同時に否定したが、それを遮られてしまう。師匠の言葉にはいつも、力が宿っているのだ。
「……き、黄色い水仙を使った、魔術を知りませんか」
素直に聞いたわたしに驚いたのか、やや瞳をみはってこちらを見る師匠。
「……知っている。だが、……禁忌魔術のはずだが」
「っ! そ、それはどんな魔術ですか!? 教えてください!」
「駄目だ。さっきも言った通り、禁忌魔術なんだ。誰かに教えることは禁じられている」
「……なら、一つ答えてください」
わたしの表情に、緊迫したものを感じたのか師匠は頷いた。
「……それは、死に戻りを叶えますか?」
期待と恐怖などいろいろな感情が入り交じる胸の高鳴りを抑え、わたしは師匠の瞳を覗き込んだ。彼の銀色の瞳は、大きく見開かれている。どうしてそれを、と唇は声にならない言葉を紡ぎ、彼は本当に驚いているようだった。
「———やっぱり。そうなんですね」
「……なぜそれを、お前が知っている」
重々しく、どこか真相に気づいているような声音。わたしは覚悟を決めた。もう話すべきだ。
「わたしは、死に戻っています」
「っ!」
「前回の人生でも、わたしは師匠とともに暮らしていました。でも、ある日森に向かっていると———」
そこからは全てを語った。森に魔獣がいたこと。わたしは魔獣と戦って死んだこと。なぜか死に戻った記憶をもっているのはわたしだけと気づき、絶望したこと。それでも死に戻ってから一度も死に際を思い出さなかったこと。そして、先ほど思い出したこと。そのときに———
「わたしのそばに、黄色い水仙が放り出されていました。それに、魔術が浮かび上がっていたんです。だから、水仙を媒体とする魔術をかけられたのは分かりました。それを見た瞬間、わたしは———意識を失いました」
「それで目が覚めたら幼い頃だった、ってわけか……」
「はい」
納得したような響きとともに、師匠は嘆息した。さすがに情報量が多すぎて、受け止めきれないのだろう。
師匠は悩むようにううぅ、と唸ると、ぱっと顔を上げてわたしを見た。突然に柔らかな表情を向けられ、驚く。
「よく、頑張ったな、アメリア」
「……え?」
「誰も覚えていなくて辛かったろ」
はっとわたしは息をのんだ。あまりにも驚きすぎて、息を一瞬とめてしまう。
師匠からの労りの言葉が素直に身体に沁み渡っていく。それと同時にじんわりと瞳から温かなものが流れ始めた。
「っ、ふ、うぅ——!」
「よく頑張った。アメリア、よく頑張った。辛かったな」
師匠の案外たくましい腕がわたしの背中に回る。
「うわああああん」
わたしは止めどなく溢れる涙がとまるまで、師匠に抱きしめられていた。
明日、明後日の更新は最終調整のためお休みさせていただきます。
次回か次次回、本編最終話の予定です。




