第344話 公爵令嬢達の始めてのY〇SHINOYA
店内のテレビでは、輪島市役所の駐車場が崩落したニュース速報中。
「まったく、どうして俺がエビフライを食べてるのが流れる訳?」
崩落とは関係無い、レイが幕の内弁当の残ったエビフライを食べているシーンも崩落の映像と共に流されている。
「まぁ、普通はアンナ所でエビフライを食べないけど……」
「テルちゃん、そんなエビフライが可哀そうだったから、つい」
〝草ww〝
〝ついじゃないんだがww〝
〝で、どうして、今はY〇SHINOYAに居るの?〝
今は、皆でオレンジ色に緑字でY〇SHINOYAと書かれた牛丼チェーン来店中だ。
「いやね、リーリエちゃんが来るときに車の中からこのお店を見かけて一度は入ってみたいと言ってね……エリーちゃんもエングランドで友人が行ったっと聞いて一度は行ってみたいと思っていたらしくね」
金と銀の公爵令嬢達は目を輝かせてながらお店の中を見ていた。
「こ、これがセルフドリンクですわ……届かないですわ」
グラスを持ちながら、エリーちゃんがピョンピョンっと水を出す所で跳ねている。
彼女は、生まれながらの貴族。水を欲すれば、執事がメイドが音を立てずに彼女好みの水を用意する。
だからこそ、セルフドリンクは彼女にとっては、とても新鮮。
〝お目目がキラキラしている……〝
〝これが、新しい物を知った人の瞳……〝
〝我々、大人が失った物……〝
配信コメントやSNS上では、彼女の新しい物をした時の瞳の輝きを見て、自分が失った純粋さに打ちのめされる人間が続発した。
「はーい、お姉さんが助けるよー」
「あ、ありがとう、テルお姉ちゃん」
テルちゃんが、エリーちゃんの両脇を抱えると水を入れられるようにしてあげる。
「リーリエ、はいどうぞ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
水を受け取りながら、リーリエちゃんの瞳から涙が流れる。
「どうしたのリーリエ?どこか痛いの?」
「ちがうの……えとね、私は孤児だった時はおカネが無くて入れなかったの……お休みの日にパパとママと小さい子がこのお店で笑顔で食べているのを見て羨ましいと思ってたのでも、今日は皆と来れてうれしいなって思って……」
〝(´;ω;`)ブワッ〝
〝全俺が泣いた……〝
〝もう、Y〇SHINOYAコピペを投稿しようとした俺が馬鹿みたいじゃない〝
〝↑やったら、多分、全方位からぶん殴られていたぞww〝
Y〇SHINOYAコピペとは、家族連れでY〇SHINOYAに来る子供連れを非難し、もっとY〇SHINOYAはギスギスした物であるべきと考えるY〇SHINOYA原理主義者が投稿したフラッシュの時代の傑作。
「大丈夫だよ、リーリエちゃん、テルお姉ちゃんをママだと思ってよいからね?」
「ありがとう、テルお姉ちゃん」
「でも、ママを名乗るなら、もっと胸あった方が良いと思うけど……」
シュパンっと音がし、レイは両手を顔の前に出す。指の間には、合計8本の箸が挟まっている。
「あぶねーな、俺で無かったら、死んでいたぞ!」
「ちょっと、デリカシーの無い女の子は死ぬべきだと思うだけど?」
テルちゃんの胸のサイズはB、中学生で成長している方である。
ただ、テルちゃんの周りは、婿を代々取っており優秀な遺伝子を確保するために男が好みそうな【清楚系で脱げば凄いデスのドスケベボディ】に収斂進化している子が多い。
そんな子達が多い中で、テルちゃんは胸の慎ましさはかなりコンプレックスだ。
そんな事も知らずに、デリカシーの無い発言したレイに思わずブチ切れたのだ。
「俺はAAで関東平野だし、そっちは有るから、良いのでは?」
「そういう問題じゃないのよ!」
〝AAで関東平野www〝
〝関東平野ww俺たちはレイちゃんの胸で生きているのかぁ……〝
〝もう、関東平野の文字を見る度にレイちゃんの胸を思うかぁ……〝
このレイちゃんの発言により、W〇kiの関東平野の項目は【レイ平原】と編集され関東平野原理主義者が【関東平野】再度編集し、壮絶な編集戦争を起こすことになる。
「テルおねちゃんは、暖かくてフワフワで大好き」
「わーリーリエちゃん、ありがとう」
レイとテルちゃんの剣吞な雰囲気を感じたのか、リーリエちゃんが抱き着く。
周りから孤児として虐められ、孤独だったリーリエちゃんにとっては、この暖かい周囲が壊れて欲しく無い故に、テルちゃんのご機嫌を無意識に取りに行ったのだ。
小学生としては、賢くそして余りにも悲しい行為。
「フフフ、やっぱり、カワイイ子に抱き着かれるのは良いですわね」
そんなことを知る訳も無く、銀の公爵令嬢を撫で回し、テルちゃんの機嫌も直った様だ。ちなみに、テルちゃんはカワイイショタもカワイイ女の子いける両刀使い。
「はーい、ご注文のつゆだく、ネギナシ、普通になります」
店員さんが、注文していた牛丼を置いていき全員分揃う。
『「「「「「いただきます」」」」』
全員が両手を合わせ、日本式の感謝の挨拶を述べると食べ始める。
次回 慰霊の輪島朝市とハプニング




