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忍者の末裔は忍ばない ~ダンジョン産のアイテムで一般人が化け物みたいに強くなったから、俺も本気を出して良いらしい~  作者: 木塚 麻弥
第4章 新たな階層

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第44話

 

 新宿ダンジョン、81階層。

 階段近くのセーフエリアにて。


「いてて……。普通、俺の怪我を治療してから次の階層に行くだろ」


 颯が回復薬を飲みながら蓮に恨み言を漏らす。


「ごめんって。覚醒した影響で傷は塞がったみたいだったから、大丈夫かなって」


「あのミストレイスの攻撃、見た目よりダメージがデカかったんだよ。なんていうかこう魂を削ってくる、みたいな」


「あー。そうなんだ。俺はあの攻撃、なんとなく嫌だなって思って絶対に受けないようにしてる。だから喰らったらどうなるか知らんかった」


「お前が危ないって思う攻撃なら先に言え!」


「ごめんごめん。でもここは所詮、踏破済みのA級ダンジョンだぞ。ハヤテがピンチになるような敵はいないって」


「俺、死ぬかと思ったんだけど?」


「それが気のせいなんだよ。お前、まだ自分が一般人だと思ってるだろ」


「……思ってますが?」


 その言葉を聞き、蓮は大きなため息を吐いた。


「ほら。これ見て」


 颯が蓮に見せられたのは、先ほどの戦闘の配信アーカイブ。



『ぶっ飛べえぇぇぇぇええええ!!!』


〈うおぉぉぉぉ!!!〉

〈ミストレイスぶっ飛ばしたww〉

〈しかも大剣でな。ヤバすぎ〉

〈てかソロでボス倒しちゃったよ〉

〈なんか覚醒したおかげっぽい?〉

〈したみたいだね。強くなった〉

〈たまに超強くなる攻略者がいるけど〉

〈あるんだよなぁ、覚醒って〉

〈ハヤテも覚醒したか〉

〈でもさ、覚醒前でも倒せたんじゃね?〉

〈それはある〉

〈ぶっちゃけ覚醒前もめっちゃ強かった〉

〈A級の盾3人が止める攻撃をひとりで耐えたし〉

〈コイツはガードを出す反応速度がヤバすぎる〉

〈防御強いのに守り専門じゃないの凄いよな〉

〈ハヤテって、アタッカーとしても超優秀〉

〈シルバトロールを一刀で両断したの笑った〉

〈やっぱり覚醒しなくても倒せたんじゃね?〉

〈間違いねぇな〉



「ほら。これが外からお前を見た感想。たしかにハヤテが覚醒したおかげで、これからのダンジョン攻略は楽になった。でも覚醒できなかったとしても、お前はミストレイスを倒せたはず」


「……まじ?」


「ハヤテはそろそろ自分を過小評価するのを止めろ。お前の防御力はS級攻略者とも遜色ない。相性が悪い敵にもちゃんとダメージを入れられる力はあるんだから、長期戦を覚悟さえすれば、お前が倒せない敵はS級より下のダンジョンにはいない」


 配信コメントで『覚醒しなくてもミストレイスを倒せた』と書き込まれていても、颯はそれを信じ切れなかった。しかし蓮にそう言われると、彼はなぜかすんなりと納得できてしまう。


「颯に足りないのは、己を信じる意思だけ」


「それが一番難しいんだよ」


「だったら俺を信じて。これからS級ダンジョンをどんどん踏破して行こうとしてるシノヴァーズの前衛として、ハヤテが相応しいって信じてる俺を」


「それなら……。出来る気がする」


「よし、じゃあそれで頼む。あとついでだから言っとくけど、ミストレイスと戦ってて一瞬こっちを見た時、絶望した顔をしたよな。俺が助けるつもりがないって勘違いして」


「あれは勘違いとかじゃなく、ほんとに助けにくるつもりなかっただろ」


「うん。あの時は助けるつもりなかった。だってハヤテがミストレイス程度に負けるわけがないって思ってたから。だけどほんとにヤバい敵が来たら、俺は絶対に仲間を死なせない。何があってもみんなを助けに行くから」


「……それやめろ。俺が女だったら惚れるぞ」


「男でも惚れてくれて良いんですよ」


 冗談のつもりで言った蓮はニヤニヤしていた。一方で颯は、少し複雑そうな表情をしていた。


 ちなみに通常、セーフエリアでは配信を止める攻略者が多い。蓮たちも普段は配信を切るが、今回は颯が少し休憩するだけで良いというのでそのまま配信を続けていた。


 そのせいで一部の女性視聴者たちがそわそわし始めるのだが⋯⋯。彼はそういった世界に疎かった。

 

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