心を軽くする薬(4)
「ほら、ご覧よリリス…。フレドリクスの身体はこんなにも逞しくて、充分に大人なんだ。ボクの手を掴んで、乳房を吸って、激しく突き動かすのでさえ何でもない事のように出来てしまう、ふしだらな王子だよ」
「触っても、いいのかしら…? こんなに大きく滾らせて、力強く波打っているわ」
てっきり背中の傷を指摘されるかと警戒していたフレドリクスだったが、そんな事は気にならないリリスに安堵し、自然と豊満な胸元に身体を寄せて行く。
「……ぅんっ! そ、そこはっ、そんな事をされたら、僕も抑えが効かなく…」
「一昨日は、ボクを無理やり部屋に押し込んで口付けしたよね…? 何だったら、ニオブも呼んで三人で胸に触れてもいいんだよ。硬くしているのに自分を留めて理性を保つだなんて、少しくらい気持ちを緩めてボクたちに奉仕したくなったって、誰も咎めないよ」
「え、エリヴァル、身体を洗うのは自分で…」
「ダメだよ、三人で洗い合うんだ…。姫君たちの前でバスタブに精を出したら、ボクたちは汚れた湯で身体を洗わなくてはならなくなるから、最後まで耐えてくれるかい…?」
サボンを手に身体を洗われ、バスタブは泡で覆われていく。顔を真っ赤に蒸気させたフレドリクスは、恥じらいながら目を閉じて、手探りでリリスとエリヴァルの肌に泡を付けて洗っていく。
すっかり湯の色が白くなった所で、見かねた小間使いが脱ぎ捨てられた服をランドリーに運んで行き、新しいお湯が張り直された。
「三人で同じベッドに眠るなんて、思っても見なかったな。それも、フレドリクスの部屋で…」
身体が温まった所を見計らって、夜着と冷えた果実酒が運び込まれ、エリヴァルは広いベッドに大の字に横たわった。
「緊張し過ぎて、そのまま眠ってしまわれたわ。エリヴァルが虐めたからかしら…。そのわりに、安心しきって眠っているようね」
「まるで、我が子を見守るお母さまの心境みたいだね。リリスに似たお方だったなんて、絵姿でも残されていたら見てみたかったな」
「側室ならともかく、妾扱いでは絵描きも姿を記した事は無いでしょうね。ねえ、部屋で眠っても身体は平気なの…?」
「今のところは、だけどね。フレドリクスとの関係が上手くいったおかげかな」
昂りと高揚感、性に対する欲求の気持ちは残ったままだったが、以前のように自分で抑えきれなくなる程に身体を弄り回されたくなる欲求は、湧き出て来なくなった。
「ね、ウィードに触れられて、大人になったんだって…?」
「今その話をするの、少し意地悪ね。とても痛かったとだけ言っておくわ…。プレゼントも貰ったし、素敵な経験になったと思う。彼を選ぶかは、また別としてね」
二人で軽く口づけてから、フレドリクスにシーツを掛けた。子供のように眠る彼の瞳には、リリスに母の面影を感じ取ったのか僅かな涙が流れた。
「御子が宿ったら役目から解放されて自由になれるのかもしれないけど、それでボクは救われるのかは…。まだわからないな」
「私が先に孕んでしまうかもしれないし、もしかしたらニオブに先を越されてしまうかもね」
お互いのお腹に触れ、孕んだら何かが変わるかを考えてみる。リリスに産まれ、エリヴァルにも出来たら王家の子供は三人に。
誰を選んで、誰と結ばれるかは先の話だけど、強制的に相手とつがいにされるのは必ず待ち受けている。
「ベリウスが嫁いでから、ずっと気持ちが不安定のままだったから。子を孕ませようなんて、考えもしなかったよ。産んでしまえば責任は残されるし、でも、使命からは自由になれる」
「今のところは、王弟さまとフレドリクスが相手候補…?」
「フィンネルにも、少しだけ触れたりもしたから、すぐに孕んでいたら、今は誰の子供かわからなくなりそうだ。でも、単なる感だけど、まだ誰も宿っては居ないよ…」
三人で抱き合い、フレドリクスを枕のように真ん中にして目を閉じた。そろそろ夏が過ぎていく。
愛しい姉のお腹も膨らみ、王家に新しい御子が授かる日まであと何日かだ。




