ロイヤルアゼールの嗜み(3)
「……もう、止められない。ーーごめん、なさい。フレドリクス…」
「謝罪なんて必要ないよ、エリヴァルは僕のクイーンなんだから」
淫らに溢れ出ていた唾液を啜り、フレドリクスの小さな舌が唇をなぞった。立っていられなくなり、膝を付いて許しを乞うように腰を抱き、何度か戸惑ってから受け入れていく。
可愛らしく舌先を押し合い、小さなキスを繰り返して震えの残る身体を捩って、留め具を外すようにねだった。
慣れない手つきで紐が外され、蒸気した乳房が露わになる。今までは長い髪で隠されていた鞭の跡が明らかになり、エリヴァルは心底恥ずかしそうに抱きついてきた。
「恥じる事はないよ。これは君が誇りを守り抜いた証なのだから……。こんな事を話すと、エリヴァルは不快に思うかもしれないけれど、僕も兄上達や他の貴族に遊ばれて育ったんだ。君の親類でもある母上が身罷られてから、兄上は引き取られた僕をおもちゃのように扱った…。兄たちの婚約が決まってからはお荷物になり、むしろ遠ざけられるようになったんだ…」
「不快になんて、感じないよ…。フレドリクスは、立派な人だ」
シャツの奥の背中には、エリヴァルのものよりも真新しい傷痕が残されていた。より酷く、強く責め立てられた痕跡には、いくつもの切り傷の治療箇所が目立ち、ここに来るまでの土産として汚された印を色濃くしている。
「ダメだよ…。そ、そんな所に触れたら…」
背中の傷を舐め、舌先で優しく包み取っていく。その傷を打ち消すように唇で吸い上げて軽く噛み、いくつもの新しい跡が残されていった。
お返しにとフレドリクスが頸と背中の傷痕に触れていき、何度も何度も愛撫され新たな痕を作っていく。
やがては、ドレスが着られなくなるくらいに肌にいくつもの模様を描いていった。
「こんなに真っ白で滑らかな肌に、君の伯母上は随分と酷い仕打ちをしたね…」
「伯母上は、王の器をお持ちではなかったから、当時は父と王位を競われていて、大層ボクらを恨んでおいでだったんだよ。それに、女性の愛妾をいくつもお持ちだった」
遺恨の残る寝台に置かれた真新しいベッドを胸に、背中を晒したままのエリヴァルへフレドリクスがのし掛かる。
思っていたより鍛え抜かれたその肌は、衣類を身につけていた時よりも大人びて見えた。
「……っ…あっ。んっ……。キスが上手だね、…んっ。背中を鏡で映してみたら、どんなに淫らな姿に仕上がっているんだろう」
乳房を掴まれたまま背中と頸との愛撫が続いていき、一番大きかった傷痕を吸われると秘芯の奥が溢れ出てきた。そのまま胸に触れられ、敏感な部分を指先が弾いていく。
「…ご覧よ。君を弄んだ傷なんて、何処にも見えなくなっている。妖しくて、とても淫らで、蠱惑的な背中に生まれ変わっている」
大鏡のカーテンが開かれ、寝台で馬乗りにされているエリヴァルの姿が映し出された。
「本当、だね。ボクの古傷なんて、もう見えなくなっている。フレドリクスの背中も、淫らな姿に変わって酷く刺激的な光景になっているよ」
指先が秘芯を責め、敏感な箇所への刺激が続いていく。体制を変えようとするフレドリクスの手を止め、猫のように足を立ててヒップを晒し、そっと指で開いて右手を誘導した。
「……淫らに動いているのが、見えるよ。古傷の舐め合いなんて言われるかもしれないけれど、その鏡に姿を映す事さえ恐れていたボクがこんな事をするなんて、フレドリクスは罪な男性だよ…」
「兄上たち以外に、…女の方を恥ずかしめるのは初めてだから、無礼でも許してくれるかい?」
「もちろんだよ……。ねえ、ここまで来て。とても、フレドリクスが欲しいんだ」
エリヴァルは腰を浮かして秘芯の最奥へと忍ばせていき、獣のように突き立てられる。髪を振り乱して精を受け入れ、体制を変えて繋がったまま熱い口づけを繰り返した。
身体の震えは治らず、部屋への恐怖心は消えてはくれなかったが、あれ程怯えていた大鏡の映し姿にだけは嫌悪感を覚えなくなり、新しく色を付けられた背中を誇らしく撫でた。




