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孤独な姫君たちの蜜の駆け引き  作者: 和泉葉也
第三章 婚約レースの開幕

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待ち受ける夜の訪れ(3)

 妖精たちに招かれてバスルームの扉を出ると、窓からの月明かりと蝋燭の焔だけが室内を照らしていた。

 手首にはそれぞれ違う意味を持った花飾りが結えられ、妖精のランプを頼りに歩みを進めると、寝室には数えきれない程の花飾りが立ち並ぶ。


 天蓋に飾られるのは異国の花、ベッドを覆うのは野に咲く何気ない花々たち。テーブルには祝いの宝石と果実が並び、明かりが灯る音以外は何も聴こえて来ない。

 妖精に扮した侍女が花に囲まれたベッドにエリヴァルを座らせると、手の甲に口づけてお辞儀をしてから去っていく。


 ゆっくりと小部屋の扉が開いて、妖精の祝福を受けた花嫁の元に薄黄色の花冠を抱いた夫が姿を見せる。


「ーーー妖精の祝福と共に、花嫁にクイーンの証を授ける」

「謹んでお受け致します」


 エリヴァルの頭上に妖精女王の冠が飾られ、花婿役のオーカスが誓いのキスをする。

 祝福を受けた二人の元から案内役の妖精達も姿を消し、後は誰も知らない夫婦だけの時間。


「儀式の流れは、これで合っていたか?」

「うん、女性の王位が優先される国だから出来た習慣なんだってね。花嫁の方が妖精女王の役で、花婿が女王に結婚の許しを貰う役。それから……」


「ーーー病める時も健やかなる時も、死が二人を別つまで、共に励まし合い分かち合い…」

「愛し合う事を、誓います」

 花飾りのベッドに横たわったエリヴァルは、ローブドレスの紐を解かれていく。胸元には首飾りだけが揺れ、乳房が熱くなっていくのを感じた。


「村では、花飾りを婿がどれだけ用意出来るかを競われるらしい。飾りの数が少なかったら、婚礼の前に振られてしまう事も有るそうだ」

「ボクは、国で一番の祝福を受けたって事かな。ウェイクフィールドとロイヤルアゼール二カ国分の式典飾りが相手では、どんな家でも敵いっこないよ…」


 首飾りを口付けられ、花飾りを結ばれた髪を抱いてオーカスの香りを感じ取る。

 胸元から首筋へと広がっていった愛撫は口元へと辿り着き、お互いの舌先を確かめ合ってから絡め取られていく。


「……何だか、恥ずかしいよ…。お飾りではあるけど、婚礼の村娘になったような気分だ」

「喉はもう、大丈夫か? さっきは無理をさせたからな」

 処置が的確だったからか、薬の効果も薄れて喉の痛みも感じなかった。余興のような婚礼が先程のつらさを忘れさせていて、遠い昔の事のように感じられる。


「もう平気だよ…。ねえ、本当の花嫁だったら誓いの台詞の後は、ずっと朝まで口をつぐんで耐えるそうだね」

「妖精の女王役は、誓いの後は言葉を発しない。秘め事の間の決まり事だから、実際はどうか知らぬが、試練を耐え切った方が良い御子に恵まれるらしい」

「うん、何とか頑張ってみるよ……」


 首筋から背中へと手を回し、熱くなっていく唇の乾きを癒していく。舌を重ね、互いに吸い合ったり絡め合ったりしていくうちに、漏れ出そうになってきた喘ぎを必死で堪えた。


「…………んっ……」

 口元を吸われ、舌が喉の奥へと広がってきた。ノックを繰り返して触れていくと、オーカスの指先が乳房を覆って突き動かしてきた。

 頭の奥が弾け真っ白になっていく、名前を何度か呼ばれた事が嬉しくなり、足を絡めて受け入れる体制になった。


 お腹を撫でるように触れると、乳房の敏感な部分を吸い上げられた。指先は秘芯へと攻め立て、試すかのように中指が押し込まれる。

 柔らかな部分をなぞる様に、最も熱くなった箇所は指の腹でそっと触られていく。


「……っ、叔父上。だ、ダメそこは……、もう、耐えられ…」

 全身が震え、堪えていた声が溢れ出した。

 静止も構わずに指の数を増やされたエリヴァルは、少し悔しそうにそれを受け入れていく。


 二人の動きに合わせるかのように花びらが舞い、香りが広がってきた。

 何度か口づけを繰り返されたエリヴァルは、花弁に留まる蝶のように叔父と交わっていく。


「だ、ダメ、……もう、止まらなく、……ぁっ、なって、きて…」

「本当の花飾りの花嫁は、妖精の女王になりきって、最後まで無口で通すそうだ」

「……そ、そんなの、ボクには……ゃ、いや、あぁ! も、もう、耐えられない……」


 奥へと辿り着いていく、熱く尖ったものが身体を引き裂く様に押し込まれて、シーツに手を掛けて抗おうとしても花びらが邪魔をして力が入らない。

 何とか身を捩って堪えようとすれば、その身は花の中に埋もれていった。


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