第24話 ミ、ミヤビが立ったー!②
「み、雅、それって」
「すごいだろ? これが見習い魔導装備技師になって作れるようになった魔力外骨格を応用して作った僕の新しい武器。魔導鎧の【サジタリウス】・バトルモードだ!」
『よろしくお願いします』
「か、かっこいい」
雅は全身タイツの上に幾つかの機械部品をつけたような格好をしていた。
まるで神装戦姫の神装みたいだ!
というか、多分それを意識したのだと思う。
そうでなければ全身タイツにメカパーツを取り付けたようなこんな感じにはならないだろう。
はっきり言ってかなりかっこいい!
流石雅だ。
よくわかってる。
「グギェギェ!」
「おっと、とりあえず、あいつを片付けてしまうか」
そう言って雅はモンスターに向かってかけ出す。
無駄のない綺麗なフォームだ。
おそらく、狩人をしていた時はあんなふうに走っていたのだろう。
いや、それだけではあんな無駄のない動きはできないと思う。
もしかしたら、足が動かなくなる前は何かスポーツをやっていたのかもしれないな。
「あるべき場所へと帰りたまえ! 『輝刃』」
「グギェーー!」
「おぉ!」
雅の右手のパーツから輝く刃が伸び、それがモンスターにヒットする。
「あれ?」
「グギェ?」
だが、雅の攻撃を喰らったモンスターはピンピンしている。
見た目ほど大したダメージは与えられなかったみたいだ。
「グギェェェェェェ!」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
「『暗殺』」
「グギェ!」
俺はモンスターが雅に気を取られているうちに背後からスキルを決める。
モンスターは一発で煙になり、空気に溶けるように消えていった。
――――――――――
嫉妬の醜兎(D)を倒しました。
経験値を獲得しました。
報酬:1298円獲得しました。
――――――――――
「す、すまない」
「いやいいよ。でも、あんまり無茶しないでくれ」
「わ、わかった」
おそらく、雅もテンションあがっちゃったんだろう。
なんかかなり強そうな攻撃だったしな。
だが、雅はまだ見習い魔導装備技師だ。
流石にDランクのモンスターを一撃で倒すことはできない。
武器が強くてもだ。
モンスターへのダメージは武器とステータスの合計で決まるからな。
いや、武器の方がめちゃくちゃ強ければ武器性能だけでDランクモンスターくらいなら倒せるのかもしれないが、雅はまだ見習い魔導装備技師だ。
流石にそこまで強い武器は作れないと思う。
「でも、全くダメージを与えられていないわけじゃなかったみたいだし、魔導装備技師にクラスチェンジすればDランクでも十分戦えるんじゃないか?」
「本当かい!」
「そうですね。少なくともノックバックはしてましたし、ダメージゼロというわけではなかったと思います」
「見習いの段階でここまで強い武器が作れるなんて、ミヤビさんすごい!」
確かに、まだ見習いのはずなのにこのレベルの武器が作れてしまうなら、クラスチェンジすればもっとすごいものが作れるようになるんじゃないだろうか?
「いや、褒めてもらえるのは嬉しいんだが、体の動きをサポートする魔力外骨格の部分は見習い魔導装備技師のジョブを使って作ったけど、それに追加している鎧部分やさっきの輝剣みたいな装備部分は鍛冶師や防具職人のジョブを使って作ったからね。強力でもそこまですごくないんだ。それに……」
『警告! 警告! マスターの魔力残量が一定を下回りました。待機モードに移行します』
雅が話している途中でサジタリウスは警告を発して変身した時のように光を発する。
光がおさまると、そこには車椅子に乗った雅がいた。
「サジタリウスのバトルモードは結構魔力を食うからね。一戦闘でほとんど魔力切れだよ」
「じゃあ、必要な時だけ変身する感じか?」
「いや、それもできない。実は変身が一番魔力を食うからね。そのあとで魔力回復ができるボス戦やピンチの時以外は今までのように後ろでボウガンを打つ役に徹するよ」
『申し訳ありません』
雅が少し残念そうにそう言うと、サジタリウスは機械的に謝罪をする。
だが、その謝罪にはどこか申し訳なさそうな雰囲気が含まれていた。
「……あの、サジタリウスのアクセサリにも何かしたんですか?」
「? いや、サジタリウスには手を加えていないよ? どうしてだい?」
「いえ、なんか、サジタリウスが感情を持っているように感じたので」
どうやら、サジタリウスの変化を感じたのは俺だけではなかったみたいだ。
だが、そう言われた雅はキョトンとした顔をしたあと、笑いだす。
「はっはっは。まさか! そうなってくれたらとても嬉しいけど、残念ながらアクセサリは所詮アクセサリだからね」
『……』
「でも。いつか僕のジョブが今以上に成長して、サジタリウスにも感情を与えてあげられるようになったらこの子ともお話をしてみたいな」
『……』
雅はそう言って愛おしそうにサジタリウスを撫でる。
俺たちにはサジタリウスがどこかもどかしそうにしているように見えた。
実はサジタリウスは自分で成長してる?
いや、流石に気のせいか。
「それじゃあ! サジタリウスの新フォルムもお披露目できたし! どんどん進んでいこうか。今日中にこのダンジョンを攻略してしまいたいからね!」
「「「おー!」」」
俺たちは雅の号令の下、ダンジョンの奥へ向かって進み始めた。




