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君を知って、恋を知る ~学校一の聖女様と秘密の同担オタクライフ~   作者: 浜焼き三太郎
第1章 君を知る

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5話 また明日

シリアスからほのぼのパートへの移行がかなり難しく、いつもの数倍時間がかかりました。読んで楽しんでいただけたら幸いです。


「あなたの前で飛び降ります。」


その一言を皮切りに、全身の血の気が引くのを感じた。


吹き抜けた春風が、僕の精神をグラグラと揺らす。


「は、はは。冗談キッツ―――」


「冗談じゃないです。本気(マジ)ですから。」


「マジ(本気)、なのかよ……。」


はぁ~っとため息をついた。


「……言われなくてもそのつもりだ。

覗き見していた僕にも非はある。」


千春さんを真っ直ぐ見据える。


「そもそも言うような友達も、

知り合いもいないから安心してくれ。」


「……それはさすがに嘘。」


むっと眉間にしわを寄せて彼女は言った。


「嘘じゃないって、ほら。」


L〇NEアプリを開いて、

千春さんに見せる。


「一応、クラスラ〇ンには入ってるんだけど……。」


そのまま画面をスクロールすると、


「えっ?友達4人だけ?」


素っ頓狂な声を上げられた。


直接言われると悲しいが、

とりあえず補足説明する。


「うち3人は家族、

あとは親友の雅之かな。」


言い終えると、

彼女と視線が交差した。


「……ちょっと、そんな憐れむような目で見ないでくれよ。」


その表情はあまりにも真剣だった。


善意が余計に苦しい。

「これはその……あれだ!友達を作ろうと思えば余裕で作れるけど、


まだ本気出してない的な―――」


「そ、そうだよね、なんかごめん……。」


「うぐっ!余計傷ついたんだが?!」


ぶはっと、彼女が噴き出した。


それにつられて僕も笑った。


《聖女なんかより、こっちの方が―――》


そんな本音が胸の奥に浮かんだ。


けれど、口に出す前に弾けて消えた。


「どう?これで少しは信じてもらえた?」


ひとしきり笑った後、彼女に声をかけた。


「まぁ、そうですね。ほんとちょっとですけど。」


「手厳しいなぁ。」


情けなさそうに眉を下げた。


「ですので、今後しばらくは観察処分ということで。」


「……なんか、犯罪者臭プンプンなんですけど。」


「当然です。」


一点の曇りなく告げられた。


《断言されると意外と来るなぁ、けど―――》


「信じてもらえるのなら、

それでもいっか。」


千春さんに向き直る。


いつの間にか瞳に、

ハイライトが戻っていた。


心なしか、表情も柔らかくなってる気がする。


そして、


「改めてよろしくお願いしますね。小鳥遊さん。」


小さな右手が差し出された。


手の震えは消えている。


「こちらこそよろしく、千春さん。」


優しく自身の右手を重ね合わせた。


「ふふっ。」


「はははっ。」


繋がれた手から体温が伝わる。


数分前まで他人だったとは思えないほど、

その温もりは心地よかった。


「それとさっき言いそびれたけど―――」


最後に思っていたことを口にする。


「素の千春さんも十分素敵だよ。」


「……ふぇっ?!」


「少なくとも、僕はそう思ったからね。」


変な声を上げた彼女をよそに、

僕は続けた。


「自信を持ちな、人を見る目には自信があるんだ。」


「あ、あの、その……。」


慌てふためく千春さん。


だけど、どうしても伝えたかった。


自分自身を嫌いになって欲しくなかったから。


“聖女じゃなくなっても、

離れていかない人が居るんだよ“


そう、知ってほしかったから。


―――ピピピッ、ピピピッ


突然、腕時計が鳴った。


見ると時刻は5時半を示している。


「やっべ、もうこんな時間だ。」


頭の中を今日のTO DOリストがよぎった。


《マズイ、長居し過ぎた!

今日こそ、 “アレ” を仕上げないとなのに!!》


「ごめん千春さんっ、

急用思い出したから先に帰るよ!」


「……え?」


くるりと身を翻して出口へ向かう。


「それじゃあ、また明日ねっ!」


軽く後ろに手を振って、

勢いよく地面を蹴り上げた。


「……う、うん。また明日。」


ボソリと何か聞こえた気がする。


けれど、気にする余裕は無い。


立ち尽くす彼女を置いて、

僕はその場を後にした。


「さっさと帰って、原稿仕上げるぞ~!!」


沈みかけの夕日を前に、

自身に喝を入れたのだった。


最後まで読んでいただきありがとうございました!


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今後ともよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
友達が少ないことの表現として、某連絡アプリを持ってくるのは面白いなと思いました。この関係性が今後どう変わってくるのか期待したいデス!!!!
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