↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を知って、恋を知る ~学校一の聖女様と秘密の同担オタクライフ~   作者: 浜焼き三太郎
第2章 君と駆ける

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/73

51話 打ち上げに行こう

体育祭編後半戦です。


無事にクラ対リレーを走り切った優斗たち。

今回は打ち上げ回ということで、少しだけ肩の力を抜いたお話になります。


それぞれが体育祭を振り返る中で、千春も少しだけ勇気を出します。


楽しんでいただけたら嬉しいです。


ヨーロッパ風の内装に、どこかオペラを思わせる落ち着いた音楽が流れている。


眩しすぎない照明と、店内に広がるイタリア料理の香りが心地よかった。


「千春っち、注文どうする?」


来栖さんがスマホ画面に視線を落とす。


「えと、それじゃあ私、ドリアで」


千春はメニュー表を指差した。


「小野寺と小鳥遊は?」


「「ハンバーグ!!」」


「言うと思った~」


来栖さんは苦笑しながらスマホを操作する。


「じゃあウチは、サラダに、スープに、若鶏と……」


人差し指を唇に当てながら、考えるように視線を上へ向けた。


「一応みんなドリンクバー付けとく?」


僕たちは顔を見合わせ、それから揃って頷く。


「オッケー! だったら四人分で送信っと」


来栖さんは得意げな顔で注文ボタンを押した。


「それじゃあ早速、ドリンクバー行こう~」


「「「おー!」」」


僕たちは声を揃えて席を立った。


***


「それじゃあ、クラ対リレーの優勝と、体育祭が無事終わったことを祝して―――」


みんなの喉がごくりと鳴る。


「かんぱ~い!」


「「「乾杯~!!」」」


カチン、とグラスが鳴った。


澄んだ音が心地よく耳に残る。


その直後、雅之が勢いよく中身を飲み干した。


「くぅ~~~。やっぱ終わった後の一杯は最高だぁ~」


「いや、おっさんかよ~」


「ふふふっ」


雅之の飲みっぷりに、来栖さんがすかさずツッコミを入れる。


そのやり取りに、僕も千春も思わず頬を緩めた。


僕もコップを持ち上げ、コーラをひと口飲む。


「……んっ。本当だ。なんか、いつもよりおいしいかも」


「だろ?」


コトン、と雅之がグラスを置いた。


「それだけ今日頑張ったってことだよ」


「だね~。つーか今日の一番の功労者って、小鳥遊っしょ?」


「えっ、僕?」


三人が一斉に頷いた。


「だってそうでしょ? たっちゃん―――じゃなかった。達哉って、あれでも陸上部のエースなんだよ?」


「そうだぞ。だからアイツに勝ったお前は本当にすげぇよ」


「う、うん……そ、そっか」


みんなからそんなふうに言われると、さすがに照れくさい。


《……まぁ、嬉しいんだけど》


「わたし―――」


不意に千春が口を開く。


「私、あの時……目が離せなかったです」


その場が不思議なくらい静かになった。


「バトンを受け取ってから、どんどん前との差を縮めていく小鳥遊さんから」


そう言うと、千春は照れ隠しのようにグラスを揺らした。


そして、おずおずと視線を上げる。


「その……カッコよかった、です」


「ッ!」


思わず息を呑んだ。


上目遣いに向けられた瞳と、視線がぶつかる。


その瞬間、一気に全身が熱くなった。


《そんなに恥ずかしいなら、無理して言わなくてもよかったのに……》


そう思うのに、胸の奥は妙に落ち着かない。


本人の顔は耳まで真っ赤に染まっていた。


それでも反応が気になるのか、ちらちらとこちらを窺ってくる。


僕は誤魔化すように顎へ手を当て、そっぽを向いた。


「いやぁ~。こういうの、なんぼでも見てられますなぁ」


「分かる。癒されるよなぁ……」


生温かい視線を感じて顔を戻すと、雅之と来栖さんがわざとらしく口笛を吹いていた。


《……この二人、絶対面白がってるだろ》


ニヤニヤした顔を見ていると、なんだか居心地が悪くなってくる。


話題を変えるように、僕は雅之へ視線を向けた。


「そういや雅之」


「ん? どうした優斗」


「改めてだけど、今日の打ち上げ大丈夫だったのか?」


「もしかして、穂乃花のことか?」


雅之はうーん、と唸りながら手の甲に頬を乗せた。


「それがな。最初は渋ってたんだけど、場所がサ〇ゼだって知ったらオッケーされた」


「へぇ? なんでだ?」


「さぁな。俺にもさっぱり分からん」


「マジかよ」


二人で首を傾げてみたものの、結局答えは分からなかった。


「まぁ、オッケー出たならいいじゃん。今日はめいっぱい楽しもうよ?」


「そうだよな。分かった、そうする」


雅之が空になったグラスを傾ける。


カラン、と氷が乾いた音を立てた。


「あ、何か飲み物取ってこようか?」


「え? 悪いだろ」


「だって席的に僕が一番近いしさ」


そう言って、僕は雅之のグラスを手に取る。


「ジンジャーエールでいいんだっけ?」


「ああ、サンキューな」


「おうよ」


僕は席を立ち、そのままドリンクコーナーへ向かった。


その背中へ向けられている視線があることなど、まだ気付いていなかった。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


体育祭編もひと区切りとなりました。


優斗にとっては達哉との勝負、

千春にとっては応援する側としての想い、

そして二人の距離が少しずつ近付いていく様子を書きたかった回でした。


また、ラストには少しだけ次の展開へ繋がる要素も入れてみました。

果たして優斗を見つめていたのは誰なのか。


体育祭が終わり、物語は日常へ戻っていきますが、

二人の関係は少しずつ変化していきます。


引き続き楽しんでいただけたら幸いです。


感想や評価、ブックマークなどいつも励みになっています。

本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。