49話 お眠り聖女様
皆さんこんにちは!
体育祭編、もう少しだけ続きます!
全力を出し切った優斗が目を覚ますと、そこは保健室。
そして、その傍らには―――?
今回は少し甘めな後日談回となっております。
ぜひお楽しみください!
「……う、ん。」
目覚めて最初に目に入ったのは、薄汚れた白い天井だった。
窓から差し込む柔らかな陽光が、ぼんやりと顔を照らしている。
「えっと、ここは……保健室?」
上半身を起こすと、掛けられていた布団がさらりと落ちた。
服装は体操着のまま。
汗もかいているせいか、エアコンの風が肌に冷たかった。
「そうだ! リレーは!?」
慌てて布団から出ようとした時、
「ふにゅぅ。」
小さな声が聞こえた。
「えっ?」
太もも付近に、何か柔らかな感触がある。
息を呑みながら視線を落とす。
「っ?! ち、千春!!」
違和感の正体は、まさかの聖女様こと千春だった。
僕の布団に顔を埋め、幸せそうな寝息を立てている。
《どうしてこんなところに?》
頭上に疑問符を浮かべる。
彼女の寝顔を見るたび、疑問は深まるばかりだった。
「ここ学校だし、誰かに見られでもしたら……」
幸い、人の気配はない。
息を殺してカーテンの隙間を窺う。
オタクの第六感も反応していなかった。
「一応、大丈夫……なのかな?」
ふぅ、と肩の力を抜く。
それから改めて千春へ目を向けた。
「まったく、こっちの気も知らないで……」
頬杖をつくと、自然と口元が緩んだ。
あまりにも気持ち良さそうに眠る彼女を起こすことも、注意することも。
今の僕には到底できそうになかった。
「色々とお疲れ様、千春」
その姿は普段の美少女然としたものではなく、幼い子供のように見えて―――
「っと。何をしてるんだ、僕は」
千春の頭へ伸ばしかけた手を止める。
いくらオタ友とはいえ、こういうのは流石にダメだろ。
自分を戒めながら、ゆっくりと手を引き戻した。
すると、
「……ん、むぅ」
千春が目を擦りながら顔を上げた。
寝起きだからか目はとろんとしていて、ぼんやりとこちらを見ている。
「おはよう、千春」
「んぇ? おはひょう……」
ほとんど反射で返したのだろう。
呂律がまったく回っていなかった。
「……」
僕を見つめること数秒。
ぷすんっ
みるみるうちに顔が赤く染まる。
「ゆ、優斗君?! え、えと、あのっ―――!!」
我に返ったように視線を泳がせ、口元にうっすらと引かれた光の糸を慌てて拭った。
「ははっ、そんなに慌てなくて大丈夫だって」
体育祭の時とは別の意味で必死な千春を見て、思わず笑みが零れる。
「で、でも、はしたないというか。お見舞いに来た私が寝てしまうのは……」
「それくらい疲れてたってことだし、仕方ないよ」
千春が俯いた。
「でも―――」
「それにさ」
彼女が言い切る前に、僕は言葉を重ねた。
「わざわざこうしてお見舞いに来てくれたんでしょ?
むしろ来てくれてありがとうだよ?」
「……そ、そう?」
「うん」
そう答えながら彼女の目を見ると、
照れたように視線を逸らされた。
「あっ! ってか、今保健室にいるってことは、あの時の僕……やっぱ倒れちゃったってこと?」
「……あぁ、うん。そうだけど」
「ちなみに結果は?」
恐る恐る尋ねる。
すると、ピタリと千春の動きが止まった。
もしかして、マズいこと聞いたか?
僕がおろおろしていると、千春はプルプルと肩を震わせ始める。
「あの~、千春さん……?」
「―――ちい」
「へっ?」
聞き取ろうと顔を近づけた、その時だった。
勢いよく顔を上げた千春が、
「一位、取れました!!」
晴れやかな笑顔でそう言い切った。
僕はそれを聞いて、
「よっかったぁぁぁぁ……。」
心の底から安堵の声を漏らしたのだった。
読んでいただきありがとうございました!
前回は全力疾走の熱い体育祭回でしたが、今回は少し落ち着いた保健室回でした。
千春の寝顔や寝起きの様子など、普段は見られない一面を書いていて楽しかったです(笑)
そして無事に優勝も決定!
頑張った優斗にはご褒美みたいな時間だったのではないでしょうか。
もし少しでも
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「千春が可愛かった!」
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それでは次回もよろしくお願いいたします!




