47話 負けられない戦い
体育祭リレー編です。
ついに始まったクラス対抗リレー。 強敵・五十嵐との勝負、そして千春へと繋がるバトン。
仲間たちの想いが繋がる熱い回になったと思います。
少しでも楽しんでいただければ幸いです!
「ははーん、逃げずにやって来るとは良い度胸じゃねぇか。」
五十嵐君がねちっこく言った。
人を値踏みするような笑みを浮かべる。
「なに、言われっぱなしも性に合わないからな。」
「ま、外野ごときがどこまで出来るか見ものだなぁ~。」
五十嵐君が僕へ視線を向ける。
「五十嵐君……だったよね。」
「おう。」
「お互い、いい勝負にしよう。」
右手を差し出す。
意外にも相手は面食らった様子だった。
瞬時にいつもの表情に戻って僕の手を掴んだ。
「小鳥遊、中々おもしれえ男だな。」
嫌らしく笑った後、彼はその手を勢いよく離す。
「いい勝負? 違うね、こっから始まるのは俺らの一方的な蹂躙だ!」
自身の胸を親指で指した。
「仲良しごっこなら他所でやりな。モブはモブらしく引っ込んでな」
そう言って背中を向けた彼。
「優斗がモブかどうかは、その目で確かめた方が良いぜ。」
雅之の横を通り過ぎる瞬間、五十嵐君がピタリと止まった。
「どういう意味だ?」
「アンカー対決、期待してるよ。」
「……。」
フンッ、と鼻息を出してから、彼は反対側の持ち場に着いた。
「じゃあ、俺も行くからまたな。」
「分かった。」
別れ際、雅之が拳を突き出してくる。
「絶対勝てよ、優斗。」
彼の拳が胸をトンッと小突く。
「あぁ、任せてくれよ。」
自信に満ちた表情で口角を上げた。
「行ってくる。」
頭の鉢巻をきゅっと結びつけて、靴のかかとをざざっと鳴らした。
***
パンッ
『いけぇ! 雅之!!』
『そこだもっと走れ!!』
『負けんな!!』
競技開始の合図で、グラウンドに声援が響き渡る。
各々のクラスの代表に向かって、生徒が一丸となって叫んでいる。
「がんばれ!! 雅之!!」
もちろん僕もその一人だった。
第一走者の雅之が最高のスタートを切り、一位で先頭を駆ける。
しかし他のクラス、特に五十嵐君の2の5も猛追していた。
「おっ、雅之一位じゃん! プレッシャーやっば~!!」
バトンゾーンにスタンバイした来栖さんが、のんびりとした声で言った。
でもそんな彼女も緊張しているのか、わずかに指先が震えているのが見えた。
「来栖さん! 大丈夫、全然いけるよ!!」
応援に負けないくらいの声量で彼女に言うと、一瞬彼女がこちらを見て。
「そうだよね! よ~し、みのりいっちょやりますか~!!」
次の瞬間、バトンを受けた来栖さんが駆け出した。
「頑張れ~!! 頑張れ~!!」
彼女はみるみる加速していく。
『みのり~!! 後ろやばいやばい!!』
『来栖逃げきれ~!!』
応援の雲行きが怪しくなってきたころ、2の5の二走者目に追い抜かれてしまう。
彼女は決して遅くない。
ただ2の5が異次元の巻き返しを見せて、差が瞬く間に広がっていく。
それでも彼女の目は諦めていなかった。
どれだけ実力差を見せつけられても、必死に食らいつく。
その姿が、蒼ブレの主人公と重なった。
「がんばれ~~~!! 来栖さん!!」
僕は叫んだ。
そして祈った。
暗闇の荒野に道を切り拓く彼女の覚悟に、少しでも光が差すように!
やがて、その時は訪れた。
「千春っち! お願い!!」
パシッ
バトンが千春へと渡った。
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