46話 エンジン全開、青春前線。
いつも読んでいただきありがとうございます!
いよいよ体育祭の目玉、クラス対抗リレーです。
円陣を組み、ライバルとの勝負を前に気合十分な優斗たち。
そして、千春との距離にも少しだけ変化が……?
ぜひお楽しみください!
『続いての種目は、クラス対抗リレーです』
「おっ? 呼ばれた呼ばれた」
「だな」
『選手の皆さんは入場してください』
「よっしゃ。行くか優斗」
「すぅ~」
息を大きく吸い込み、両頬を強く叩く。
乾いた音がした。
「……準備オーケー。行こうか」
地面を蹴り上げて、盛り上がりの中心へ歩き出した。
***
「二人とも、こっちこっち~」
僕らに向かって手を振っていた来栖さん。
その隣には千春もいた。
「二人ともお疲れさん。随分と早いな?」
「へっへ~、楽しみすぎて早く着いちゃった」
来栖さんが「ね~」と千春に頬を擦り寄せると、柔らかそうなほっぺがふにゅっと潰れた。
本人は困ったように笑っていたが、心底嫌そうにはしていなかった。
『てぇてぇ~』
『目の保養や~』
観客席からそんな声が聞こえてきていたが、僕らは気づかないふりをした。
「小鳥遊さん、準備はバッチリですか?」
千春から声が掛かる。
「うん。今日は怖いくらいに絶好調だよ」
言ってから、顔に影が差す。
「……五十嵐君には後でお礼をしとかないと」
「えっ、今なんて?」
「い~や、なんでもないよっ」
慌てて明るい声を作る。
「そうだっ! 最後にウチらで円陣組んどこーよ」
「いいなそれ、気合入るぜ」
そう言って、みんなで肩を組み合った。
雅之、来栖さん、僕、そして千春の順に円になる。
「ほらほら、みんな肩組んで!」
言われるままに肩を組もうとした時、不意に千春と目が合った。
くりくりとした可愛らしい瞳。
整った鼻筋。
ぷるんっとした唇。
だけどあどけなさの残る表情に、僕は引き込まれて固まっていた。
「小鳥遊、さん?」
「えっ? あぁ、ごめんごめん」
不思議そうに見つめる彼女から逃げるように、僕は視線を逸らした。
「ほらほら二人とも、さっさとする」
「ふっ、優斗もまだまだ子供よのぉ」
「なっ! う、うっせ……」
小さくむくれながらも、そっと手を伸ばした。
「っ!」
ピクンっと、千春の体が跳ねる。
「え、あ、あぁ、ごめん!!」
慌てて離れようとした時、僕の肩に勢いよく腕が回された。
「……だ、大丈夫です。ちょっと、ビックリしただけなので」
「そ、そっか?」
腕にそっと力が入って、千春の顔がすぐそばまで近づいた。
鼻をくすぐる花みたいな香り。
男子とは違う柔らかな肌の感触。
そのどれもに胸は高鳴り、彼女や来栖さんに伝わってしまいそうだった。
「みんな肩組んだね! そしたら小野寺頼んだ!!」
来栖さんの掛け声で、みんな顔を見合わせた。
「2の3!」
「絶対勝つぞーーー!!」
「「「「おぉ~~~!!」」」」
僕らの声が校庭中に轟く。
さぁ、エンジン全開だ。
スタート地点へ向かう。
巻き上がった砂煙の向こうで、ライバルの姿が見えた。
五十嵐君。
いざ尋常に勝負といこうか。
僕らは揃ってスタートラインに並んだ。
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