40話 一緒に帰ろ?
皆さんこんにちは。浜焼き三太郎です。
最新話を更新しました。
今回は体育祭練習後のお話です。
気まずさを抱えたまま帰ることになった優斗と千春ですが、来栖と雅之の計らい(?)によってまさかの四人での下校に。
少しずつ言葉を交わしながらも、まだどこかぎこちない二人。
そんな中で千春の本音が少しだけ漏れてしまいます。
楽しんでいただければ幸いです。
あの後も1時間ほど練習した僕ら。
日も暮れてきたころだったので切り上げて帰ることにしたのだが。
「あれ~? 二人とも今から帰り?」
校門を出たところで、後ろから声を掛けられた。
暗い中振り返ると、校門前の外灯に照らされた二人の少女がいた。
「おっ、来栖に千春さん。そっちも今帰りか?」
「そうだよ~。駅まで一緒に帰るの。」
「へぇ~、なるほどねぇ。」
チラッと、雅之が僕を見た気がした。
「なら俺らも一緒していい?」
「えっ?」
「はぁ?」
僕と千春が声を上げたのは、ほとんど同時だった。
「だってよ~、せっかくのクラ対リレーのメンバーどうし交流しなきゃ損じゃね?」
「だろ、来栖?」
そう言って、来栖さんを伺った雅之。
「ウチは全然いいよ~、千春っちはどうする?」
「わ、私は……。」
言葉を言いあぐねている千春。
そりゃそうだ。
来栖さんみたいな聞き方をされたら、嫌でも断りづらくなるだろ。
「……大丈夫、です。」
「よっしゃ~。」
その場で飛び跳ねて、腕を振り上げた来栖さん。
「千春っちからのオッケー出たことだし、とっとと行きますかっ。」
彼女の一言を皮切りに、僕ら四人での下校が始まった。
***
「でさ~、蒼ブレの主人公が―――」
「そのシーン激熱だったよな! 俺、涙止まんなかったぜ!!」
前を見ると来栖さんと雅之が、絶賛蒼ブレの話題で盛り上がっていた。
それに比べて僕らはというと。
「「……。」」
お互いに無音の状況が続いていた。
さっきの一件があったからか、あるいは色々と僕が緊張しているからか。
話題も振れず、口は縫い留められたみたいに動かなかった。
《何かしゃべらないと、でもどうしたら……。》
そう思って、千春の顔を盗み見ようとした時だった。
「あ……」
不意に目が合う。
僕が見るより先に、彼女の視線がそこにはあった。
それから気まずそうに彼女が目を逸らす。
「……千春さん?」
「す、すみませんっ。そんなじっくり見るつもりは無かったのですが……。」
恥ずかしそうに顔を逸らしたまま、早口で千春は言った。
「え? もしかして、顔になんか付いてた?」
「い、いえ、特には……多分。」
「その反応、逆に怪しいんだが……。」
慌てて持ってきていたタオルでガシゴシと顔を拭く。
拭き終えても、千春の反応は変わらない。
「そうではなくて。その……眼鏡、外してるんだなって。」
人差し指で目元をトントンと叩きながら、彼女は言った。
「朝からずっと掛けていたので、気になってて。」
「あぁ~、そういう事。」
ようやく合点がいった。
「オーケー、ちょっと待ってね。」
ガサゴソとカバンの中を漁って、四角いケースを取り出した。
カパッと開ける。
「邪魔になるから、練習前に外しておいたんだよ。」
取り出した眼鏡をそのまま掛けた。
「にしても良く気付いたね。いつもとそんな違和感無いから、大抵の人は気付かないよ?」
「それは……。」
千春は人差し指同士を気まずそうに突き合わせる。
唇をきゅっと結び、もじもじと足元に視線を落とした。
「……普段から優斗君のこと見てるからで―――って、今のなしっ! 忘れてください!!」
余程恥ずかしかったのか、顔の前でブンブンと手を振る千春。
その様子にあまり深くツッコまないようにしていたのだが。
《いや、深い意味はないよな。きっと。》
考え込んでいると、前方から視線を感じた。
「ん?」
顔を上げて見てみると、そこには先ほどと同じように話し続ける二人がいた。
「でさー、その時のシーンが。」
「ソッカソッカ。ソレハ、メッチャスゴイヨナ。」
《見間違いか? 一瞬、にやけた二人がこっちを見ていた気が……。》
「……ねぇ、会話めっちゃ棒読みじゃんっ!」
「……し、仕方ないだろ。こういうの初めてなんだし。」
「……バレてたらどうすんの?!」
「……。」
二人の様子が気になったけれど、今はそれどころじゃない。
「千春さんっ。」
名前を呼ぶと、彼女の瞳がこちらを捉えた。
「あ、え、っと。」
《どうしよう、何を言いたかったんだっけ……。》
話を切り出したはいいものの、肝心の内容が出てこなくて焦った。
何か、盛り上がるような話題があれば―――
「あの……優斗君。」
その名前を聞いた瞬間、弾かれたように焦点を絞った。
それから前の二人が見ていないのを確認して、ゆっくりと千春が口を開いた。
「今日は―――本当にごめんなさい。」
「っ?!」
重々しく頭を下げた彼女に対し、僕は戸惑いを隠せなかった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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