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君を知って、恋を知る ~学校一の聖女様と秘密の同担オタクライフ~   作者: 浜焼き三太郎
第1章 君を知る

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3話 聖女様(?)


「また、今日も告白されちゃった。」


編みぬいの頭にそっと指を乗せ、


「……今月、これで何回目になるんだろう?」


そのまま優しく撫で始めた少女。


“アンネリーゼ・千春・リンドバーグ” が呟いた。


現在時刻は午後四時半。


夕日に包まれた緋色の屋上。


立ち入り禁止のその場所で、

彼女は編みぬいを抱えていた。


「正直、気持ちは嬉しいんだけどさ―――」


一方で、僕の存在には気づいてない様子。


ひとりごとは継続中だった。


「私の中身も知らないのに、一目惚れだのなんだのってそればっかり。」


ふにっと、編みぬいが摘ままれる。


「理想と違ったら、きっとまた幻滅される―――」


諦めたように息が抜ける。


「嫌だなぁ、こういうの……。」


チラリと見えた横顔は、

あどけなさと切なさが滲んでいた。


《モテる人には、モテるなりの苦労があるのか。》


顎に親指を添え、

僕はそう感じた。


ぶっちゃけ今まで、


【美男美女に生まれた人、絶対勝ち組じゃん。】


ぐらいの認識だった。


だから今日の出来事で、

自分の考えを改めようかなって思えた。


まぁ、それはそれとして、


「てか、私みたいな中身オタクの陰キャ女、

誰が好きになってくれるの?


絶対本性知ったら、

粗大ごみとしてごみ処理場持ってくやつじゃん。」


どうやら、千春さんの様子がおかしいみたいだ。


「そりゃあ年中、頭の中アニメとラノベで一杯だし、たまには腐ることもあるけど、それは私の個性というか趣味というか生きがいといいますか最早、日常生活に欠かせないものになっていまして。あ、もちろんその、栄養素的な意味って話で、というかそもそも推しが存在してくれるからこそ人間は明日も頑張れるわけでしてですね―――」


延々と言葉が止まらなくなっている。


まるで写経みたいで、

ブツブツと止まらない。


《どっかで見たことあるな、これ。》


人が聞き取れないほどの早口?


饒舌?


しかし、

最後の方になると口すぼみになっていくこの感じ。

「分かってくれる?


だよねっ!


~~~たんはいつも私の味方だもんね!!」


編みぐるみを強く抱きしめる彼女。


「今後も一生推させてもらいます。


~~~たんしか勝たんっ。」


そうか。


今になってようやく分かった。


「こんなの、オタ活してる時の僕じゃん。」


―――ギィィィ


「って?!おわっ!!」


「きゃっ?!」


手を着いた瞬間、

扉が音を立てて開いてしまった。


流されるように、

外へはじき出された僕。


倒れ込むように軽く転倒。


「イテテッ……。」


ありがたいことに傷は無く、

指先を少し擦った程度だった。


だけどそれ以上に、

見過ごせないことがある。


「……。」


気配で分かった。


無言で見つめる聖女様の姿がすぐそこに、って。


数秒の沈黙が続く。


「えっと。じゃあ、僕はこの辺で―――」


「お待ちください。」


振り返った僕の腕を、

千春さんの手が捉えた。


「小鳥遊 優斗 さん、でしたっけ?」


後ろから威圧感を感じる。


「少し、話していきませんか?」


無機質な笑顔を浮かべる彼女。


瞳には既にハイライトが無く、


“何をしでかすか分からない”


そんな不気味さを醸し出していた。


一つだけ分かったことがある。


―――僕、もうダメかも。


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