↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を知って、恋を知る ~学校一の聖女様と秘密の同担オタクライフ~   作者: 浜焼き三太郎
第2章 君と駆ける

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/73

38話 ボーイズトーク

皆さんこんにちは、浜焼き三太郎です。


今回は優斗が自分の感情と向き合うお話です。


千春の背中を押したのは優斗でした。けれどその結果、千春の世界が広がっていくほど、優斗の胸には説明できない感情が積もっていきます。


嬉しいはずなのに嬉しいだけじゃない。


そんな優斗のモヤモヤを、ぜひ見守っていただければ幸いです。


それでは本編をどうぞ。


「……何をやってるんだ、僕は。」


グランドの端の段差に座り、ひとりぼやいていた。


目の前のグラウンドには、リレーの練習、大縄跳びの練習。


それから休憩時間なのか談笑している人で溢れていた。


その中でも特に目立つ二人の女子。


千春と来栖さんを眺めながら、ほぅ~っとため息をつく。


「さっきの完全に感じ悪かったよな~。しかもみんなに心配までかけて……。」


体育座りのまま顔を埋める。


「これじゃあ、中学の頃と何も変わってないよな。」


指先でジャージを握りしめた。


クシャッとできた皺が、なかなか戻らなかった。


そんな時。


ぴとっ


「うおっ!冷たっ!!」


耳元にひんやりとした何かが当てられる。


ビックリしながら振り向くと、そこには缶ジュースを持った雅之が立っていた。


「よっ、相棒。」


「な、なんだよ雅之か……。驚かせんなって。」


にししっと、いたずらっぽい笑みを浮かべている。


「なんだとはなんだ。せっかくこの俺が、飲み物買ってきたっていうのによぉ。」


「え? 珍しい。人に頼むことはあっても、自分で買いに行くなんて……」


ツッコむと露骨に嫌な顔をした。


「おっ、喧嘩売ってんのか? じゃあいいよ、二本とも俺が飲むから。」


「あぁ! 悪かったって、ごめん。その……ありがとう雅之。」


「ったく。最初からそう言えよな。」


そう言って、彼から缶ジュースを受け取る。


まだつんけんした態度の彼だったが、缶ジュースを飲み始めるとたちまち機嫌は戻っていった。


「それで、優斗さんや。」


「ん?」


缶ジュースのプルタブに指を掛けていると、


「お前、最近なんかあったろ?」


「え? な、なんのことで―――」


「別に胡麻化さなくていいって。」


ゴクゴクと喉を鳴らした後、缶ジュースから口を離した雅之。


それからラベルを見ながら、手の中で揺らしていた。


「言いたくなけりゃ、無理には聞かねえよ。ただ……。」


腰を下ろして僕の隣に座った。


それから横目で僕を見る。


「優斗(友達)が困ってんのは、やっぱ見過ごせねえよ……。」


照れ隠しをするようにまた、ぐいっと一気に中身をあおった。


「雅之……。」


二人の間で沈黙が落ちる。


やがて、僕の方から口を開いた。


「そうだなぁ。」


右手の缶ジュースを額に当てる。


「せっかくだし。……話、聞いてもらおうかな。」


「おう、聞かせてくれ。」


プルタブを引っ張ると、プシュッと炭酸の抜ける音がした。


中身が溢れるより先に口を付け、一気に飲み干す。


ぷはっと息を漏らし、気持ちよさそうに目を細めた。


「あ、ちなみにだけど三次元の話じゃないから。」


「はい出た。」


「そこんとこよろしく。」


「はいはい、分かってますよーと。」


雅之は胡散臭そうな目を向けてきたが、まぁいいだろう。


「ラブコメの定番でな、ヒロインの秘密を主人公以外に打ち明けるシーンってあるだろ?」


?マークを浮かべた雅之。


「こう、主人公が背中を押したのをきっかけにさ。」


「まぁ……確かにあるな。」


「んで、それを受け入れてくれる友達が増えて。


ヒロインの交友関係はどんどん広がっていくんだ。」


「いいねぇ、最高の展開じゃないか。」


「そう……なんだが。」


その一言に肌はぴりついた。


「……上手く言えないけど、主人公の気持ちを考えると少し複雑なんだ。」


「というと?」


缶をトントンっと弾いた。


「嬉しいはずなのに、なぜか寂しくて―――辛くなる。」


遠くで笑い合う千春と来栖さんへ視線を向ける。


「一番近くにいたはずなのに、ヒロインが離れていくみたいでさ……。」


空っぽの缶を傍に置く。


それから、何とはなしに空を見上げた。


「とか思う僕は……やっぱりおかしいのかな?」


答えを伺うように、僕は雅之からの返事を待っていた。


傾き始めた夕日が、妙に目に染みた。


「別におかしくねえだろ。」


間を置くことなく、雅之は言い切った。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります!


今後ともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。