30話 体育祭編スタート
こんにちは、浜焼き三太郎です。
今回は体育祭編スタートのお話です。
イベントごとが大好きな雅之と、できれば平穏に過ごしたい優斗。
そんな二人が種目決めで騒いでいたら、思わぬ形で巻き込まれることになりました。
少しずつ動き出す体育祭編を楽しんでいただければ嬉しいです。
「なぁ優斗。」
肩をポンっと叩かれて我に返る。
「……んぁ、悪い。どうしたって?」
「だから~。体育祭の種目、何にすんのかって話だよ。」
「あぁ、もうそんな時期か。」
梅雨明けまではもう少し。
湿気を含んだ空気と、夏の気配が教室に充満している。
そんな時期だった。
僕ら北欧高校の生徒は、この時期になると決まって体育祭が開催されるのだが―――
「なぁ、出ないって選択肢は無いの?」
「そんなの無いに決まってんだろ。」
「だよねぇ……。」
力が抜けたように机へ突っ伏した。
「はぁぁぁ、出たくないな~。」
「ったく、お前ってやつは。」
呆れた顔でおでこに手を当てる雅之。
「いいか優斗。体育祭と言えばイベントの宝庫なんだぞ?」
「ちなみに何の?」
「少女漫画だが?」
「……言うと思ったよ。」
頬杖をついて窓の外を見る。
ガラスを叩く雨粒は今日も途切れることがない。
梅雨ってのは気分がどうも上がらない。
「参考までに聞くけど、例えば?」
「そうだなぁ―――」
考えるように顎に手を当てた。
「例えば、借り物競争。」
「ふむふむ。」
両手を顔の前で組んで、肘をついた。
「引いたお題がまさかの異性の“好きな人”?!
慌てふためく主人公!」
「かなりのピンチっ!! それでそれで?」
「このままではみんなの見世物にされてしまう。
それでも彼の元へひた走る!!」
目を閉じ熱弁する雅之。
「そこで思いを打ち明けて、
ようやくお付き合いという名のゴールテープを切るのでした。」
「マジかよ、最高のハッピーエンドじゃないか……」
気付けば二人とも話に飲まれていた。
目頭が少し熱い。
「他にも障害物競走や、クラス対抗リレー。
種目ごとに色んなイベントがあるんだよ。」
「そう考えると、結構楽しみになってきた。」
「だろ?」
雅之が得意げに胸を張る。
「ちなみに俺のオススメは、障害物競走、借り物競争、クラス対抗リレーかな。」
「じゃあ、ひとまずクラス対抗リレーは無しとして―――」
「はぁ?
クラ対リレーは、一番見せ場あるし女子にモテるしで外せないって!」
大声で言いながら、肩をボンボン叩いてくる。
「ちょ、痛いって。
疲れるのは嫌なんだ。」
「えぇ~?」
ヒリヒリする肩をさすりながら僕は言った。
「そう言わずに―――っ!
何なら俺も出るからさっ。」
「嫌なものは嫌なんだ~!!」
「そこの二人、話聞いてますか~?」
駄々をこねるように声を上げていたら、
周囲の視線が一斉にこちらへ向いていることに気付いた。
おう、マジかよ。
二人そろって顔を合わせ、
「「……すんませんした。」」
教卓の女子体育委員に謝った。
「まったく。
話し合いには、ちゃんと参加してくださいね。」
「「……はい。」」
クラスにどっと笑いが起こる。
笑い声が広がる中、
千春さんも小さく肩を揺らしていた。
その姿が目に入ってしまい、
なんだか落ち着かなくなる。
落ち着かない様子で頭を掻いた。
「あと、競技決まっていないの二人だけですからね。」
「えっ?」
「ほっ?」
間の抜けた声を上げる雅之。
「なので余りの、クラス対抗リレーに出てもらいますので。」
嘘だろ。
なんてこった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
今回は体育祭編への導入回でした。
種目決めという地味な話ではありますが、優斗たちらしい掛け合いを書いていて楽しかったです。
そして、本人は気付いていませんが、千春のことを目で追ってしまう優斗も少しだけ。
体育祭は青春イベントの定番ですので、この先の二人の関係がどう転がっていくのか見守っていただければ嬉しいです。
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それではまた次回。




