22話 二人でお出かけ
いつもお読みいただきありがとうございます!
第二十二話です。
ついにやってきた休日のお出かけ当日。
少し背伸びをした優斗と、いつもよりおしゃれをしてきた千春。
そんな二人の待ち合わせからスタートです。
楽しんでいただければ幸いです!
待ち合わせの駅前。
改札前に少女の姿を見つけた。
「ごめん、待たせた!!」
息を切らしながら声をかけると、その少女は振り向いて。
「優斗さんっ。」
弾んだ声音で言葉を返した。
「ごめん、結構待たせた?」
「いえいえ! 私も今来たところなので。」
いつもより巻かれた髪。
気持ちの高揚を表すように、それらがふわふわと揺れていた。
「それにしても、今日は前と恰好が違うんですね。」
「あぁ、その……。新しい服を買ってみたんだけど―――」
両手を挙げてみたり、裾をつまんでみたり。
「どう、かな?」
尻つぼみになりそうな声で彼女に言った。
今更になって、気恥ずかしさを紛らわすべく僕は必死になっていた。
「う~ん、そうですね。」
見定めるような千春さんの視線が痛い。
《大丈夫のはず。少なくとも、ファッション誌には載ってたやつだし……。》
心の中で鼓舞する自分に、いよいよ彼女は口を開いた。
「すごく素敵ですよ。」
「ッ! ほんとうっ!!」
「はいっ。」
思わず拳を握る。
よかった。
本当によかった。
「ファッションの勉強をして、服も新調したんだ。
その甲斐があったよ。」
「え、そうだったんですか?」
「うん、というか千春さんの影響が一番かな。」
彼女のショルダーバッグがカチャリッと鳴った。
「ほら君っておしゃれだし。隣を歩く以上、身だしなみくらいはせめて、って。」
そう言って、千春さんの恰好を見た。
アイボリーのブラウスに、淡いベージュのワイドパンツ。
柔らかな色合いが初夏の日差しによく馴染んでいる。
「今日の恰好だってすごく似合ってるし、まだまだ千春さんには敵わないよ。」
「そ、そうですか?」
それから彼女は、もじもじと人差し指を合わせながら、
「……よかった。」
そっと口先から零れていた。
「その、よかったって言うのは?」
「はっ!! え、えっと―――」
視線が少したじろいだ後、口を開いた。
「実は私も……なんです。」
「へっ?」
「この服、今日のために買ったといいますか……。」
顔中を真っ赤にしながら、ハンドバッグのストラップを握りしめた彼女。
落ち着かない様子で、その手にきゅっと力が入っている。
「あははっ。」
思わず笑ってしまった。
「す、すみませんっ! 私ってば、変ですよね……。」
「いやいや、そうじゃなくて―――」
照れくさくなって、軽く頭をかいた。
「……案外、考えてること同じなんだなって。」
「……あ。」
彼女がそっと息を呑んだ。
それから顔を上げて、エメラルドグリーンの瞳を輝かせた。
「だからさ。」
千春さんと目が合った。
「変わり者どうし、今日は思いっきり楽しもうよ。」
少しだけ顔を傾け、安心させるように微笑んだ。
すると彼女も少し落ち着いたのか、
「えぇ、そうしましょうっ!」
明るく頷いた。
「ありがとうございます、優斗さん。」
「いえいえ~。」
そう言って、スマホに届いたフォームを確認する。
*来店時間
午後12時
ご利用人数
2名
代表
小鳥遊優斗
よしっ。
抜かりはない。
「それじゃあ千春さん、準備は良い?」
「もちろんです、優斗さん!」
そう答える声は軽やかで、今にも足取りまで弾みそうだった。
思わず口元が緩む。
今日を楽しみにしていたのは、どうやら僕だけじゃないらしい。
目配せをして、ようやく目的地に向かうのだった。
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