20話 頑張りとその成果
いつも読んでいただきありがとうございます!
今回はテスト結果発表回です。
勉強会の成果が出るのか、優斗の努力は報われるのか。
そんな気持ちで書いていました。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それでは本編をどうぞ!
「それじゃあ今から、数学のテストの返却をするぞ~。」
「「「えぇぇぇ~~~~……。」」」
教室中から嫌そうな、それでいて楽しみそうな声が半々で聞こえた。
《いよいよこれが最後のテスト返却か……。》
「はいはい、静かに~。じゃあ番号順で行くぞ―――」
教師の一言で、周囲の意識が前方に向いた。
「新井―――」
僕の出席番号は25番。
恐らく呼ばれるのは大分先になるだろう。
期待と不安でドキドキの待ち時間だ。
「なぁ、優斗。自信の程はどのくらいだ?」
「……そうだねぇ、五分五分ってところかな? 少なくとも全力は出し切ったし。」
教卓の上に積まれた解答用紙を見つめる。
「結果がどうあれ、悔いは無いさ。」
「……わぉ、心の余裕がすげぇっス。」
するとその時、彼を呼ぶ声がした。
「とか言ってるうちに俺呼ばれたわ。」
「結果が楽しみだな。赤点取るんじゃないぞ。」
「優斗じゃあるまいし、そんなヘマはしないよ。」
椅子をがたっと引いて、立ち上がり教師の前へと向かった雅之。
「……。」
「……っ?!」
どうやら小声で何か話し合ってるみたいだ。
そうして渡された解答用紙を持って戻って来た雅之。
「なぁ、優斗。」
「どうした?」
僕の問いかけに、げっそりとした顔で答える雅之。
「―――今回のテストで俺、平均ギリギリだったわ。」
「嘘だろ? あの雅之が……?」
彼はコクコクと首を振った。
《あの完全無欠の雅之が、平均点ギリギリだと?》
ご存じ雅之は、スポーツ万能、成績優秀、顔イケメンの完璧超人だったはず。
彼がこれほどまでに低い点を取ったのも、
落ち込んでいる姿を見るのも、初めてだった。
「彼女とイチャイチャし過ぎて、点数落ちたんじゃないの?」
「そ、そんなことはナイゾ……。」
視線を泳がせ、どこか慌てた様子の雅之。
「ったく、何してんだか。」
彼を横目に見ながら待っていると、いよいよ僕の番が来たみたいで、
「小鳥遊 優斗。」
「あ、はいっ。」
若干声が裏返ってしまったが、周囲には気づかれていないようだ。
そそくさと教卓まで向かって、教師と顔を見合わせた。
「小鳥遊、お前―――」
何か言いたげな顔で、A4サイズの紙きれを渡される。
裏返しで渡されたそれには、赤いペンでうっすらと点数が書かれていた。
5と9で、59点……だと?
マジか、思いっきり平均以下じゃないか……。
「今回の出来栄え、どう思うよ?」
なんだ嫌味か?
くっそ、こっちの気も知らないで……。
「……全力を出して、この程度。情けない話です。」
「えっ? そういうもんか?」
「えぇ。だからこそ今日は受け止めて、次のテストで40点アップを狙いますよ。」
その瞬間、教師が一気に噴き出した。
豪快な笑い声をあげて、僕の肩をバシバシと叩いている。
《なんだ? そんなに僕の点数が低くておかしいって言うのか?
良い先生だと思ってたのに最悪。》
しかも何事かと、周囲の視線が集まってきているのが分かる。
もはや公開処刑だよ、何がしたいんだほんとに?
「いやぁ~ついな。変なこと言うもんだから笑っちまったよ。」
「はぁ……変な事?」
「あぁ。だってよく自分の点数見てみろよ。」
ぺらりと裏返して目を凝らした。
「えっ?! これって……。」
95点。
解答用紙には、その数字がくっきりと書かれていた。
「お前の点数プラス40点って、それだと100点超えちまうだろ?」
その言葉を聞いた瞬間、思わず目頭が熱くなった。
「よくやったな小鳥遊。お前の頑張り、俺には伝わって来たよ!」
「っ! ありがとうございます、先生!!」
《なんだこれ、嬉しい。すっごい嬉しい!!》
教室の床を蹴る度、身体が浮き上がりそうだった。
そんな気さえした。
そして席へ戻る途中、千春さんと目が合った。
ほんの一瞬。
けれど彼女は、まるで自分のことのように顔を輝かせていた。
その笑顔を見た瞬間。
九十五点を取れたことよりも、その笑顔を見れたことの方が、
僕はただ嬉しかった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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