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君を知って、恋を知る ~学校一の聖女様と秘密の同担オタクライフ~   作者: 浜焼き三太郎
第1章 君を知る

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1話 聖女様( )

プロローグなどの設定(季節や学年)などを変更しました。目の色とかも変えました


「はぁ~~~、ツラすぎる。」


スマホを片手に一人呟く。


「デカい溜息だなぁ、優斗。何がツラいって?」


目の前で、小野寺(おのでら) 雅之(まさゆき)が

コーヒー牛乳をすすっていた。


顔はイケメン。

中身はガチオタ。


*尚、可愛い彼女がいる模様。


「いやぁ、百合香たんが可愛すぎて。」


「おーけー、もう十分だ。」


「まぁ見てくれって。」


そこには黒髪の美少女(二次元)が

映し出されていた。


彼女の名前は、花園(はなぞの) 百合香(ゆりか)。

通称、 ”百合香たん”


ラブコメアニメ

【走る背中に恋をした】

略して、”はし恋” に登場するメインヒロインである。


「見た目も中身もほんと女神。

尊い超えてむしろツラい。」


額を抑えて後ろに仰け反った。


「さぁ、人類復唱してくれ。

百合香たんの魅力は世界一ィィィィ!!」


小鳥遊(たかなし) 優斗(ゆうと)16歳


今日も調子は絶好調。


「......相変わらずのオタク全開、流石だぜ。」


―――ズゴゴッ


ストローが空気を掠めた。


「だがなぁ、優斗。二次元だけじゃなく、

三次元も中々悪くないんだぞ。」


コトッと空のパックを机に置いた。


「抱きしめた時の体温、

キスした時のプルンとした感触。」


うんうんと頷き、


「あれに勝るものは中々ないぜ。」


「……なんか、彼女いるヤツが言うと説得力あるな。」


「だろっ。」


得意げな笑みを浮かべる雅之。


その仕草さえ絵になるのだから、

彼女がいるのにも納得がいく。


「現実に “百合香たん” みたいな子がいればなぁ。

そしたら恋が出来るのに。」


「そのレベルだと、大分理想高い気が

―――あっ、でも一人いるんじゃないか?」


そう言って、窓の外を指さした。


「ん?」


言われるがままに目を向ける。


すると目下の裏庭で、

二人の男女が向かい合っているのが見えた。


「なんだ修羅場か?」


「まさか。ラブコメの匂いがするし違うだろ。」


「マジかよ……。」


一人は、イケメンで有名な3年の先輩。


そしてもう一人は、

クラスでも学校でも有名な女子生徒。


“アンネリーゼ・千春・リンドバーグ” がそこにいた。


可憐な笑みを浮かべる彼女。


その場所だけがまるで、

ラブコメアニメのワンシーンみたいに映った。


「あの人……確か、聖女様だっけ。」


「あぁそうだ。」


当事者二人を気遣って、ヒソヒソ声で語り合う。


「性格、容姿、全て揃った完璧美少女。」


「まさに、優斗の理想じゃないか。」


雅之が僕の方を一瞥した。


「う~ん、そうなるのかなぁ。」


彼女の方を二度見する。


瞳は宝石みたいに輝く翡翠の色。


海外譲りのスラッとしたプロポーション。


長い亜麻色の髪は後ろで丁寧に編み込まれ、花のような形にまとめられている。


その結び目で揺れる大きな紺色のリボンが、

上品さと愛らしさをチョイスしていた。


《確かに。百合香たん要素は、

多いかもだけど……。》


彼女は可愛い、それは事実だ。


男女問わずに人気があるのも、

聖女なんて呼ばれたりするのもよく分かる。


だけど、


《出来過ぎてるんだよなぁ、何もかもが。》


彼女の天使みたいな微笑みが。


可愛らしい仕草一つ一つが。


僕の中で、猜疑心を募らせる。


“果たして本物なのか”、と。


「なんか、オタクの勘が違うって。」


「えぇ~?マジかよ。」


ぐったりと頭を抱えた


「ちなみに信憑性は0に等しい。」


「......信じていいのか?それ。」


二人そろって笑い合う。


「それよか二人に動きあったぞ!窓開けよう窓!!」


「OK!任せてくれ!!」


音を立てないように、そ~っと窓を開ける。


そして外から入って来た会話に、

僕らは揃って耳を澄ませた。


『あの、千春さん。俺と付き合ってください!』


「まさかの直球。さぁ、聖女どう出るのか?」


「ちょっ、雅之。前見えないって!」


ラブコメオタク、歓喜の渦。


そんな折、千春さんは困ったように微笑んだ。


『お気持ちは素直に嬉しいです。』


伏し目がちに言葉を紡ぐ。


『けれど、あなたの事を私はよく知りません。』


『知らないままにお返事をするのは、

失礼だと思うんです。』


自身の胸に手を当てて、大きく息を吸いこんだ。


『だからごめんなさい。

あなたとお付き合いすることはできません。』


清々しいほどに言い切った。


「すごいな。相手への思いやりと、自分の主張を

瞬時に切り替えて……。なんて器用さだ。」


「驚くとこ、そこかよ。」


はぁ~あ、と雅之がため息をつく。


しかしその間に、彼女たちの方は終わったようで、


告白した側は、やけにスッキリした顔で

帰っていった。


「なんて言うか、懺悔室の需要が

よく分かった気がする。」


「だよなぁ。俺も三日に一回、

彼女の愚痴を聞いてもらいたくなったよ。」


「よしっ、彼女に報告だ。」


「待ってマジ勘弁。」


千春さんが帰るのを前にして軽口を叩きあう。


もっとも、この時の僕らは気付いていなかった。


去り際に、彼女の深緑色の目が


こちらを見ていたことに。


あたかも最初から、


僕らの存在に気付いていたかのように。


鈍く、くすんだ、光を放っていたのだった。


最後まで読んでいただきありがとうございました!


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今後ともよろしくお願いいたします。

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