16話 オタクと聖女と勉強会
皆さま、いつもありがとうございます。
今回は勉強会編の前準備回です。 テスト期間のため、優斗たちも学生らしく勉強に追われることになりました。
そして気づけば、またしても優斗に羨ましいイベントの気配が……? それでは第16話、どうぞ!
「勉強会なんだが、今週はちょっと厳しいかも。」
「え?なんでさ?」
「その、先約がいてだな。」
そう言って、気まずそうな顔をした。
「あぁ~(察し)。」
《なるほど、おうちデートってやつか。》
「優斗が良ければ、俺の家で三人一緒でもいいんだが……。」
「それは遠慮しとく。俺がいたたまれなくなるからな。」
いちゃらぶカップルのところに僕が挟まれるなんて、
それなんて拷問だよ。
「すまねぇ優斗、来週は絶対出来ると思うから。」
「いいってことよ。ひとまず今週はソロ勉するから。」
「サンキュー、相棒!」
さわやかな笑顔だった。
「マサ君~、早く帰ろ~。」
「お~う!悪い悪い!!」
見ると穂乃花さんが、カバンを持って彼を呼んでいた。
「それじゃあな。」
「あぁ、嫁さんによろしく。」
そうして雅之たちは帰っていった。
教室に残された僕は―――
「よしっ、部室で勉強でもするかな。」
誰に言うでもなく一人呟き、荷物を持って立ち上がった。
「……。」
ただ、誰にも届いていなかったはずの言葉は、
ある少女の元へ確実に届いていた。
しかし、この時の僕はまだ知りもしない。
***
「あぁ~、やっぱ分からんっ!」
机に突っ伏したまま呻いた。
「大体なんだよ、微分積分いい気分って、こちとら全然不機嫌だっつーの。」
「勉強内容が、全部アニメとか二次元なら理解も早いのにな。」
「マジでどうしようか……。」
コンコンコンッ
不意に扉がノックされる音が鳴った。
「……はい?」
聞き間違いかと思い、そのまま参考書へ視線を戻す。
だが、どうやらそうではないようで、
コンコンコンッ
再度ノックされた。
《……こんな場所に、わざわざ来る物好きなんていたのか?》
「は~い。」
この時あったのは、好奇心1割、だるさ4割、眠気5割くらいの配分だった。
ふらふらと立ち上がり、ゆっくりとドアを開けると―――
「あれ、千春さん?」
「お、お疲れ様ですっ。……ゆうと、さん。」
まさかの人物が立っていた。
「どうして君がここに?」
そう尋ねると、彼女は視線を右へ左へ泳がせた。
「……き、今日の移動教室の時に忘れ物しちゃってですね。」
「あれ?今日って確か、移動教室無かったような?」
「あっ、えと、そうじゃなくて……。」
咄嗟に言葉を探すように、頭の横で人差し指をくるくると回して、
「……その、優斗さんに用があったと言いますか。」
「そうなの?」
「はい……。」
両指をもじもじさせつつ、千春さんは言った。
俯いているからか、表情が読めない。
《僕に用っていったい?》
ここ最近の出来事を振り返ってみる。
彼女と最後にあったのは土曜日のこと。
直接僕に用があるなんて、それ関係の事しか思いつかない。
いいニュースであってほしいけど、僕が知らないうちに無礼を働いていたとか。
それを直接言いに来た―――なんて話じゃないといいんだけど。
「えっと、つまり?」
「……。」
沈黙が続く。
やがて、先に声を発したのは彼女の方だった。
「……きょう。」
「今日?」
意味が分からず首を傾げる。
すると彼女は、意を決したように顔を上げた。
「勉強、一緒にしませんか?」
「ぜひお願いします。」
言葉が体を追い越した。
脊髄反射ならぬ、聖女様反射。
《勉強? 僕が? 千春さんと?》
数秒遅れて頭が冴え始める。
《いや待て。なんでだ?》
頭は冴えても理解できなかった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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