15話 恋(ラブコメ)勉強中
皆様、いつもご覧いただきありがとうございます。
前回は恋愛相談(?)のような流れになりましたが、今回はその余韻が残る日常パートとなります。
優斗自身はまだ自分の気持ちにまったく気付いていませんが、周囲から見ると色々と分かりやすい状態になってきました。
そして次回からは定期テスト編。 果たして優斗はオタ活存続の危機を乗り越えられるのか。
少しゆったりとした繋ぎ回になりますが、楽しんでいただければ幸いです。
「マサ君、優斗君。それじゃあまたね~。」
「おう、またな~」
ひらひらと手を振って、彼女は教室に入っていった。
「……ちょっと雅之さん。彼女の手綱、しっかり握っといてくださいよ。」
「穂乃花ってば、あの手の話題大好きだからなぁ。
少し熱が入りすぎたんだろう。」
はははっと、大きく笑った。
「少しとは?あれ大分ジャンキーな目つきだったぞ?」
「仕方ないだろ?色恋音痴の優斗から相談されたんだから。」
「僕の印象って一体?」
「えっ?二次元厨。」
真っ直ぐな目で言われた。
「はぁ~……。」
額を抑える。
「僕はなにも、恋愛に興味が無いってわけじゃなくてだな。」
「ふむふむ。」
扉に手を掛ける。
「単に好きって気持ちを、知らないってだけで―――」
パチリッ
一瞬、扉の先の少女と目があった。
翡翠の目を大きく見開く “聖女” こと、千春さん。
しかしすぐさま、周りの女子生徒たちに視線を向けて、
何事もなかったかのように振舞った。
「なるほど、じゃあ違うか。」
「ん?何が違うって?」
悩みの種というか、胸の異常の根源たる彼女を見て、
逆に冷静さを取り戻した僕。
だからこそ、確証を得た。
これは恋じゃないって。
フィクションのものと、あまりにも遠く感じるのだから。
「いやこっちの話だから、気にしないでくれ。」
「そうか?」
そのまま雅之と二人で自分たちの席に向かう。
最中、彼女のいる方向に目を向けると、
そこにはクラスの中心的な女子や比較的リア充とか言われてる部類の女子たちで固められていた。
実際見ただけで、千春さんがクラスでどんな場所にいるか分かる。
表向きは皆同じクラスメイト。
だけど、人との距離感や立ち位置は案外平等じゃない
『やっぱ千春さん可愛いよな。』
『分かる。なんか他の子と雰囲気違う。』
『聖女様だもんなぁ。』
近くの男子らが、そう口にしているのが聞こえた。
「なるほどね……。」
思わず小さく苦笑した。
これだけ好かれているのも無理はない。
彼女はいつだって誰にでも優しいのだから。
だけど。
理想に答えようとし過ぎて、そのギャップに苦しんでいるのも事実だろう。
《せめて僕といる時ぐらいは、
肩の力を抜ければいいんだけどな……。》
心の中でそっと思うのだった。
「なんか気合入ってる?」
「別に~。」
雅之の言葉に、伸びた声で返した。
「まぁいいか。」
荷物を置いてこちらを振り返る。
「とにかく優斗、俺らはお前の恋の味方だからな。」
「うん。」
「何かあったらすぐに相談しろよな。」
彼の一言が胸に沁みる。
あぁ、僕はなんていい友達と出会えたのだろう。
この機会、逃す手は無いよな。
「なら早速で悪いんだが。」
教室の週間表の文字を見て言った。
「定期テストの勉強教えてくれよ、次赤取ると―――」
「オタ活、禁止なっちゃうんだ。」
そう言うと、彼は冷めた表情で。
「お前……マジかよ。」
と、言い切った。
しかし、この時の僕は気付いていなかった。
そのやり取りを耳にして、密かに動揺している人物がいることを。
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