14話 恋バナ?
皆さま、いつもお読みいただきありがとうございます!
前回は映画デート編の締めくくりでしたが、今回はその週明けのお話です。
帰り際の何気ない一言が、思っていた以上に優斗の心へ残っていたようで……?
少しずつ変化していく二人の関係を楽しんでいただけましたら幸いです。
それでは第14話、よろしくお願いいたします!
『また学校で―――優斗さんっ。』
気恥ずかしそうな、
でもどこか嬉しそうな表情で彼女は言った。
『待って!!』
一瞬遅れて呼び止める。
『君は今、なんて―――』
とっくに発車した電車と離れていく背中に対して、
僕は手を伸ばすことしか出来なかった……。
「夢、か……。」
うっすらと目を開けると、
窓から漏れた朝日が自室を照らしていた。
「ふぁ~あ……眠い。」
時計を見ると、6時半。
連日の寝不足がたたって、
まだまだ疲労感が抜け切れていない。
それでも重い体に鞭打って、
のっそりとベッドから降りる。
「……準備、しないとだな。」
そうして、学校への身支度を始めたのだった。
***
カツカツッコンッ。
重なるローファーの音。
桜の散った並木道。
春の気配も消え始め、
少しずつ夏の訪れを感じる、今日この頃。
揃いの制服に身を包む生徒たちに紛れて、
学校に向かって歩いていると、
「おはよう優斗っ。」
肩を軽く叩かれた。
振り向くとそこには、
見慣れた男子ともう一人。
「おはよう雅之、それと―――」
彼の後ろに目を向ける。
「穂乃花さんもおはよう。」
「よっす~、優斗君。」
雅之の隣で手をひらひらと振ったのは、
彼女の “如月穂乃花” さんだ。
黒髪のショートカットがよく似合う、
気さくな美少女である。
「今日は二人とも一緒なんだね。」
「おうよ~。駅で会ったんでそのままな。」
誰もが羨む美男美女カップル。
二人の輝きで、目が潰れてしまいそうだ。
「マサ君、今日は珍しく早起きだったね。」
「昨日はやることも無かったし早めに寝たんだよ。
で、気づいたら朝の5時起き。」
やれやれと言いたげに額へ手を当てる。
「おかげで快眠、ビバ健康体っ!」
イケメンフェロモン爆発中。
男子は血涙、女子は悶絶必至の光景が、
目の前に広がってきた。
「いいなぁ、僕とは正反対じゃん。」
それとはお構いなしに話を続ける。
「なになに?そっちは寝不足なのかしら?」
不思議そうな顔で問いかけてくる穂乃果さん。
「その、考え事してたら寝付けなくて……。」
すると、二人がグイっと距離を詰めて来た。
「おっ?もしかして恋の悩みかっ?」
「えっ、意外!二次元にしか興味無いと思ってた。」
「いやっ、そういうのじゃなくてだな……。」
《くっ、なんだってこんなに食いつきが
良いんだか。》
「水臭いなぁ。悩みごとなら相談乗るぜ?」
肩を組んだら、雅之の顔がすぐそばにあった。
「日頃、彼氏がお世話になってるお礼に私も~。」
後ろからひょっこり顔を出す穂乃花さん。
「……はぁ〜。」
僕は二人へ顔を寄せた。
「実は聞きたいことがある。」
「おう。」
「なになに?」
「……ズバリ、女子が男子を名前呼びするときって、どんな意図があると思う?」
二人同時に目を合わせ、
先に口を開いたのは穂乃花さんの方だった。
「好感度にもよるけど、
友達としてもっと仲良くなりたいみたいな?」
「……なるほど。」
趣味の合ったオタ友どうし、
仲良くなりたいと思うのは当然か。
ぶっちゃけ、内面を理解してる唯一の男子だからって理由もあるだろうけど。
「後は気になる相手だから、
アプローチのつもりでしてるとか?
少なくとも、私はそうだったし。」
彼女の一言に彼はきょとんとした。
「え、ごめん。……気づけなかった。」
「……マサ君、鈍かったもんね。」
ジトーっとした目で見つめる穂乃花さん。
「め、面目ねぇ……。」
雅之、たじたじである。
「何はともあれ、
その子が好印象なのは間違いないと思うわ。」
「俺も同感だ。
少女漫画ではよくある展開だから断言できる。」
「そっか。」
胸の芯が熱くなった。
「……そうだといいなぁ。」
不意に言葉が漏れて、
慌てて口を塞いだ。
が、気づいたら隣の二人がニマニマしていた。
「―――で、誰のこと?詳しく聞かせてっ!」
「水臭いなぁ。(恋の)悩みごとなら相談乗るぜ?」
「だ、だから違うっつーの!!」
僕の悲痛の叫びが校門前に響いていた。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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