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君を知って、恋を知る ~学校一の聖女様と秘密の同担オタクライフ~   作者: 浜焼き三太郎
第1章 君を知る

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9話 デートの約束?

いつもお読みいただきありがとうございます。


今回はオタクトーク回……と思いきや、気づけば映画の約束まで取り付けてしまうお話です。


本人たちにその自覚はまったくありませんが、傍から見ればそれはもう立派なお出かけの約束だったりします。


少しずつ縮まっていく二人の距離を楽しんでいただければ幸いです。


それでは第9話、どうぞ。


「個人的に、11話の告白シーンは胸熱だったな~。


僕、涙止まらなかったもん。」


「分かります!」


ふんふんっ、っと

両手を胸の前で上下に振った。


「後ろ向きだった主人公が前を向いて、

“百合香たん” に思いを告げようとしている……。


―――その背景にグッとくるものがあるんですよね!!」


「うんうんうんうんっ!!」


返すように、何度も何度も頷いた。


「いやぁ~、分かってもらえて嬉しいよ。」


「私も “はし恋” トークができて嬉しいです。

クラスだと、そもそも見てる人いなくて……。」


千春さんは苦笑交じりに答えた。


「同じく。

僕のオタ友の雅之も見てないって言うから、

話し相手に困ってたんだよね。」


「雅之さんって確か小野寺さん、ですよね。

あの人もオタクだったんですか?」


「あれ、言ってなかったけか?」


キョトンとした彼女。


「そうだよ。

彼も僕に匹敵するほどのラブコメオタク。

ただし、

主食はもっぱら少女漫画だけどね。」


ちょっぴり自慢げに話した。


《オタ友兼、親友の他己紹介は任せてほしい。》


「へぇ~、なんだか意外ですね。」


「やっぱそう思う?」


「はいっ。」


やや前のめりで答えた千春さん。


「小野寺さんって、女子の間でもカッコいいって

評判なので。


「だからこそ、そのギャップが大きいと

言いますか……。」


「う~ん、そうか……。」


《それ、多分君にもそのまま返ってくるよ?》


出掛かった言葉を飲み込んだ。


「男の僕ですら惚れ惚れする程のイケメンだからな。

そりゃあ、女子人気も高いわな。」


ふぅ~っと、

うんざりしたような息を漏らす。


「まぁ、ひがんでもしゃーない。

ほかで補っていけばいいし。」


「最悪、“百合香たん” さえいればそれでいい。」


「激しく同意ですね。」


「だろ?」


ちょくちょく出てくる、

やけに年季の入ったネットスラング。


彼女、本当に2010年代生まれだよね?


同世代って感じがしないんだが……。


「そうだっ。 “百合香たん” と言えばなんだけど。」


スマホを開いてスワイプした。


「これ知ってる? “はし恋” の劇場公開!」


「あっ!これ知ってます!!」


途端に表情が華やぎだした。


「かなり前からリークしてたんですよねっ!

ただ、詳しい日時は今月としか……。」


頬に手を添え、記憶を巡らせる。


「実は……今週の土曜日からなんだよ!」


「えぇっ?!

ってことは、もう明日からじゃないですか!!」


コクコクと頷く。


「公式サイト見た時驚いたよ、

なにせ意外とすぐだったからさ。」


「うわぁ……!」


と感嘆の声を漏らした。


「しかも公開直後、期間限定特典の

配布があるらしい……。


「これを逃す手は無いよな。」


耳打ちするように言うと、

わなわなと肩を震わせていた。


「限定特典―――聞くだけで、

ワクワクが止まらないです!!」


「だなっ、そしたら明日一緒に行かない?」


「……えっ?」


口をうっすらと開け、

意外そうな顔で僕を見ていた。


《あれ?なんか変なこと言っ―――あっ。》


オタ友(千春さん)を映画に誘った。


千春さん(学園のマドンナかつ、美少女で聖女様)

を映画に誘った。


イコール


“女子をデートに誘った”


《待て待て、最後の一文が問題だ。》


「すまん、今の忘れて―――」


「ぜひ行きましょうっ!!」


「えっ?」


驚いたような目で彼女を見つめた。


「え、いや、だって……。」


言葉を言いあぐねる。


「その……いいのか?」


「?特に問題ないですけど。」


淡々と言い切った。


「そっか。」


胸を撫でおろした。


「で、小鳥遊さんっ。

時間と場所はどうしますか?」


子供みたいにはしゃぐ彼女を前に、

杞憂だったかな、なんて思ってしまった。


「そうだな、ひとまず時間と場所は

こんな感じで―――」


二人の頭の中は、今や明日の映画で一杯だった。


逸る気持ちを燃料に、あっという間に

段取りが決まっていく。


そうして、一通りが決まった頃。


「あとこれ、私の連絡先です。」


千春さんが自身のスマホを差し出した。


画面にはキューアールコードが

映し出されている。


「おっ、そしたら僕の連絡先も……っと。」


すかさずアプリを起動して、

彼女のそれを読み込んだ。


ピロリンッ


アプリの通知音が聞こえる。


画面には千春と書かれた、

桜のアイコンが表示されていた。


「アイコンも “百合香たん” なんですねっ。」


「そっちは桜か~、いいセンスしてるじゃん。」


「千春って感じしません?」


「なるほど~。ははっ、確かに。」


[5時半になりました。用の無い生徒は―――]


「って、もうこんな時間!

すみません小鳥遊さん、私はこれで―――」


ボールペンを握りしめて、くるりと踵を返した彼女。


「あっ、そうだ。小鳥遊さん。」


扉に手を掛ける寸前、こちらへ振り向いた。


「明日、楽しみにしていますねっ。」


トクンッ。


《ん?》


それは。


取り繕ったものでも、

聖女として浮かべるものでもなかった。


ただ純粋な、心からの笑顔だった。


「うん、僕もだよ。」


扉の向こうへ消えていく彼女を見送る中、

一瞬感じた胸の異変に首を傾げた。


《なんだったんだろう、あれ?》


探る様にスマホへ問いかけてみても、

いまいち原因は分からなかった。


・検索

胸、動悸、原因?


・検索結果

不整脈、心不全、etc


>胸のドキドキや動悸(どうき)は、ストレスや緊張による自律神経の乱れのほか、不整脈や狭心症などの―――


やっぱ分かんないや。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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今後ともよろしくお願いいたします。

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鈍感系主人公だったかー
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